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大然 鬼プレスご褒美弾 混戦で鋭く反応!左足で決めた 周囲の支えに感謝「僕一人では無理でした」

[ 2022年12月7日 05:10 ]

FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会決勝トーナメント1回戦   日本1―1(PK1―3)クロアチア ( 2022年12月5日    アルジャヌーブ競技場 )

<日本・クロアチア>前半、ゴールを決め喜ぶ前田(撮影・西海健太郎)
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 W杯の大一番で初ゴールを奪ったFW前田の口からは、真っ先に感謝の思いがこぼれた。「ここに立てたのは僕一人では無理でしたし、たくさんの人に感謝したい」。あふれた涙を止め、誓った。「これが日本の実力だと思うので、また一からやり直さないといけない」。

 前半43分、今大会初めての先制点をもたらした。得点は右のショートコーナーの流れから。右後方の堂安がゴール前へ浮き球のクロスを送り、吉田が折り返す。韋駄天(いだてん)は中央でゴールを射抜いた。日本がW杯でクロアチアから得点を奪うのは、3度目の対戦で初めてとなった。

 金星を挙げたスペイン戦では、GKシモンへの猛プレスで堂安の同点弾の“起点”となった。スプリント回数は62分間で60回のスペイン戦に続き、この試合も64分間で68回という驚異的な数字を記録。フォア・ザ・チームを誰よりも体現してきた25歳への、ご褒美のような1点だった。

 動物病院を経営する母の幸枝さんと獣医師の父・伸幸さんとの間に生まれた5人きょうだいの2番目。「子供が生きる道を決める。(親は)場所だけ提供してあげよう」(幸枝さん)という思いで、大自然から「大然」と名付けられた。

 実家近くの大阪府と奈良県にまたがる二上山に2歳から登り始め、小学校に入学するまで毎朝、片道1時間の土と砂利の山道を走って上り下りした。自然の中で伸び伸びと育った少年は、動きの先を読む“第六感”のような本能的な嗅覚を身に付けた。

 山梨学院大付高時代には、素行不良で部活を出禁となった。受け入れてくれた社会人クラブで練習に励み、パン屋で無償奉仕し、1年後に戻った。守備で献身的にチームを助けるようになったのは、その時に周囲の支えのありがたみを痛感したから。片時も忘れなかった感謝の思いが原動力となり、最後にゴールへと結実した。

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2022年12月7日のニュース