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号泣、そして危機感…本田、4年間で“日本変える”

[ 2010年7月1日 06:00 ]

パラグアイ戦にPK戦で敗れ、1人だけ先にベンチ裏へ引き揚げる本田

 【W杯決勝トーナメント1回戦 日本0-0(PK3-5)パラグアイ】日本代表MF本田圭佑(24=CSKAモスクワ)が日本サッカーを変える決意を口にした。初出場のW杯では4試合2得点と結果を残し、日本代表を2大会ぶりの16強へ導いた。だが、大会前に口にしていた優勝という目標を達成できず、自身を含めたチーム全体の力不足を痛感。今大会で採用した守備重視の戦術ではなく、観客を魅了する攻撃的サッカーで14年ブラジル大会に臨むことを誓った。

 ひざまずいて勝利を祈っていた本田が、顔面からピッチに崩れ落ちた。PK戦の末にパラグアイに敗れ、自身初のW杯は16強で終戦。視線を落としたまま1人でサポーターへのあいさつを終えると、ベンチコートで頭を覆い、ロッカールームに入って号泣した。他の選手と一緒にあいさつさせようとロッカーへ向かった関係者も、声をかけられないほどだった。
 報道陣に対応した際も涙は乾いていなかった。「オレの中では1次リーグで負けても決勝で負けても同じ。敗者なので何を言っても仕方がない」。決定機に決められなかった。前半40分、右サイドを突破した松井のパスに反応。中央に走り込みダイレクトで左足を合わせたが、左隅に外れた。延長前半9分には低い弾道の直接FKを狙ったが、GKに阻まれた。敗戦チームからは異例のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、3試合2得点を挙げた1次リーグほどの輝きは放てなかった。
 日本代表は02年日韓大会以来の決勝トーナメント進出。「よくやった」との声も聞かれる中、本田は日本の未来に危機感を募らせていた。チームは大会直前に細かくパスを回す理想を捨て、守備重視の戦術にシフト。耐えて、守って世界の強豪と渡り合ったが「今回はこういう戦い方になったけど、(本来は)内容にもこだわって勝ちにいかないといけない。オレが日本人でもパラグアイ人でもなければ、この試合は見ていない。ピッチに知ってる選手が誰もいないわけだから」と、技術レベルが低く、見どころの少ない試合だったことを強調した。
 雪辱の舞台は4年後。敗戦を受け止め、早くも14年W杯ブラジル大会に視線を向けた。「試合に出た人も出なかった人も足りないものを感じたはず。それを4年間でどう詰めるか。次は攻める姿勢を世界で出す時。一人一人がすべての技術を向上させる必要がある。生半可なことじゃない」。満足感などない。自身のチームで世界を魅了し、幼いころからの目標であるW杯優勝を成し遂げるまで。日本のエースとなった男が立ち止まることはない。

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2010年7月1日のニュース