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土壇場のシステム変更 可能にした選手のポテンシャルの高さ

[ 2010年7月1日 15:14 ]

パラグアイ戦で、華麗に相手をかわす阿部勇樹

 【名波浩のツボ】本田を1トップ、阿部をアンカーとして起用するシステムは苦肉の策だったが、対戦相手を分析して戦っていくうちに、はまっていった。W杯前の強化試合で理想のサッカーでは勝てないというのが分かったとき、腹をくくれたのがよかった。短期間でチームをつくるには守備を重点的にやっていくしかないが、選手のポテンシャルも高く、現状での最高到達点のプレーはできていた。

 ただし、攻撃面では物足りなさはあった。急きょ採用したシステムだけに“こうしたらいい、こうやったらダメ”という判断は、試合を重ねなければインプットされない。デンマーク戦では攻撃的に戦えたが、パラグアイ戦では大久保、松井らの動きが研究されて苦しんだ。そこでどう対処していくのか。1カ月足らずでは臨機応変に対応できるまでには至らなかった。

 5年先、10年先を見据えても、ボール支配率や1試合での攻撃の回数が飛躍的によくなるとは思えない。守備は一定の成果を挙げたものの、得点を取らなければ上には行けない。勝負どころでスイッチを入れて攻撃に出るとき、どれだけ人数をかけて出て行けるか。全体の意思統一をより深めることが大切になる。(元日本代表MF)

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2010年7月1日のニュース