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得意だったPK…号泣の駒野に川口「胸張って帰ろう」

[ 2010年7月1日 06:00 ]

<パラグアイ・日本>PK戦で敗れ、失敗した駒野(中央)をなぐさめながら引き揚げる松井(左)と阿部

 【W杯決勝トーナメント1回戦 日本0-0(PK3-5)パラグアイ】沈痛な面持ちで取材エリアに姿を現したDF駒野友一(28)の姿は痛々しかった。

 PK戦でただ一人外し、日本代表は16強敗退。目を真っ赤に腫らし、報道陣の呼びかけにも頭を下げながらひたすら無言。敗戦の責任を一人で背負い込んだ。
 先攻のパラグアイが3本決めて迎えた3人目。ゴール左上を狙ったボールがクロスバーを直撃し、天を仰ぎ、頭を抱えた。中沢が抱きかかえるようにして選手の中に迎え入れたものの、パラグアイ5人目のFWカルドーソのシュートがゴールに吸い込まれると、再びピッチに崩れ落ちた。
 4人目で決めたパラグアイのアエド・バルデスが仲間から離れて駒野に駆け寄り、言葉をかけて気遣った。松井は肩を抱いて一緒に泣いた。「同年代だし、僕が蹴っていても外したかもしれない。切り替えようと言葉をかけた」。片方の肩は阿部が抱え込んだ。出番がなかった稲本が笑顔をつくり、サポーターの元へ導いた。主力も控えもチーム一体となった岡田ジャパンを象徴するシーンだったが、駒野は最後まで顔を上げることができなかった。
 PKは得意で、07年アジア杯では2度のPK戦ともしっかり決めていた。06年ドイツ大会ではオーストラリア戦で相手に抜かれて3点目のゴールを許し、雪辱を誓って臨んだ今大会は全4試合にフル出場。献身的なプレーで16強進出に貢献したが、最後に待っていたのは残酷な結末だった。
 「誰が悪いということはない。それまでに決着をつけられなかった自分たちのせい」とゲームキャプテンの長谷部はかばった。「120分間のプレーは素晴らしかった。PKは運だよ。胸を張って帰ろう」。主将のGK川口から声をかけられ、駒野の目からまた涙があふれ出していた。

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2010年7月1日のニュース