藤井正弘の血統トピック

欧州では異端の血 配合自由度高く有利

[ 2018年7月31日 05:30 ]

 現3歳世代の欧州圏調教ディープインパクト産駒は日本産の輸出馬、母馬の胎内で輸出された「持ち出し馬」合わせてわずか8頭しかいなかった。その中から英2000ギニーのサクソンウォリアー、仏ダービーのスタディオブマンと、2頭のクラシックホースが出たのだから、驚くべき“長打率”と言える。これはクールモア、ニアルコス家といった大オーナーブリーダーがえりすぐりの良血牝馬をディープインパクトとの交配のために日本に送り込んだ成果でもある。

 欧州のホースマンがディープインパクトの血を渇望する理由は、傑出した種牡馬能力はもちろん、配合的な自由度の高い血統構成にあると考えられる。国内では飽和状態に近いサンデーサイレンス〜ヘイロー父系も、ガリレオを軸としてノーザンダンサー系が圧倒的なシェアを占める欧州では非主流というより異端に属する。例えばサクソンウォリアーの母メイビーは、ガリレオ×デインヒルでノーザンダンサー3×4。昨年の凱旋門賞を制した現役最強牝馬エネイブルはガリレオ後継のナサニエルが父でサドラーズウェルズの2×3となる。“ノーザンダンサー濃度”が極限に達してしまった欧州の良血の受け皿として、怪物フランケルを筆頭とするガリレオ後継種牡馬群以上に有利な立場にあるのがディープインパクトなのである。

 2歳世代の外国調教ディープインパクト産駒は欧州圏のみならず、オーストラリアでも大量6頭(牡2頭、牝4頭)の持ち出し産駒がデビューを待っている。豪G1・4勝のアリンギをはじめ、各馬の母は当然ながら良血ぞろい。来年は南半球のクラシック戦線でもディープインパクト旋風が吹き荒れることになりそうだ。(サラブレッド血統センター)

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