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タダしい競馬の見方塾 ~クイーンS~

[ 2021年8月5日 20:25 ]

直線で一気に駆け抜けて勝ったテルツェット
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 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は1日に開催された「クイーンS」編。

 連日、東京五輪を見て思う。金メダルを獲る選手は、ここまでに想像できないほどの練習量を積み上げてきた者だ。そして、本番当日にしっかりと気持ちの整えた者でもある。この2つをそろえなければ金には手が届かない。名を挙げることは避けるが、実力を高く評価される日本の有力選手が何人もメダルに届かず、涙を流すシーンを見た。

 本番に集中することが大事という意味では競馬も同じだ。クイーンSを制したテルツェットは課題を全てクリアして勝負どころへと突入した。ヴィクトリアマイルでは気負いすぎて14着に失速。その教訓から、本馬場入場の際、先に出して過剰な興奮を抑え込んだ。普段通りのテンションのまま、返し馬、輪乗りに臨んだ。

 いつも通り、10番手付近のポジションを追走したことも良かった。ここまで函館の芝は極端な追い込みでは勝ち切れないレースばかりだった。それでもルメールは、この馬が最もリズム良く走れるポジションを選択した。

 人事を尽くした人馬に天命が舞い降りる。厳しい流れとなって前が失速し、絶好の差し展開に。前もスムーズに空いて差し切った。運も巡ってきたが、自分のやるべきことを丹念にやり切ったからこそ、幸運をつかむことができたといえる。

 昨年夏から今年春にかけて、GⅢダービー卿チャレンジTを含む4連勝をマークした馬。それでも前走の大敗を糧に、改善することを怠らなかった陣営の努力は称賛に値する。今回はスタートも決め、4連勝時から、さらに成長した姿を披露した。オジュウチョウサン、ライオンボスを擁する和田正厩舎。秋の期待馬がまた1頭、登場した。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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