タダしい競馬の見方塾 ～七夕賞～

七夕賞をトーラスジェミニで制した戸崎騎手
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　キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は7月11日に開催された「七夕賞」編。

　トーラスジェミニをⅤへと導いた戸崎騎手のうまさが光った。好スタートを切ったが、内のロザムールを行かせ、2番手に収まる。そこからが絶妙。ロザムールとの距離を適度に取り、逃げ馬にプレッシャーを与えすぎないようにレースを運んだ。あまり寄せすぎるとロザムールが意識してピッチを上げてしまう可能性がある。そうなれば直線で2頭とも後続のえじきだ。1000メートル通過は60秒8。やや重馬場を考慮しても平均ペースだろう。先団有利の流れを演出したのは戸崎騎手と考えて間違いない。

　4コーナーでもトーラスジェミニはロザムールから左右の距離を取っている。ここまで気を回せれば、もう勝利が見えている。しっかりとロザムールをかわして重賞初制覇。2着はロザムール。外を回した人気馬は軒並み沈没した。

　これまでは逃げて結果を出してきたトーラスジェミニ。だが、安田記念で初騎乗した戸崎騎手が2番手からの競馬を提案。うまく5着に粘り込んだことで戦法の幅が広がった。厩舎サイドも逃げない競馬を覚え込むよう調教を工夫したという。その成果が今回の快勝だ。ちなみに七夕賞出走を提案したのも戸崎騎手だそうだ。トップクラスの騎手は、自分が乗ったことがない馬でも、こんな特徴がありそうだとイメージできる。そういう感性がなければリーディングで上位を争えないということだ。

　♤競馬記者Ａ　スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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