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タダしい競馬の見方塾 ~朝日杯フューチュリティステークス~

[ 2021年12月21日 15:50 ]

ゴール前の競り合いを制し、G1初制覇のドウデュースと武豊騎手
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 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は19日に開催された「朝日杯フューチュリティステークス」編。

 ドウデュースをVへと導き、JRA・GⅠ完全制覇へ、あとホープフルSを残すのみとなった武豊。顔に喜びをいっぱいに称え、大きな拍手に迎えられて検量室前へと戻った。心からうれしいのだろうと感じた。

 武豊騎手は基本的に記録にそんなにこだわりを持つタイプではない。もちろん「ダービーを獲りたい」「この馬にGⅠをプレゼントしたい」という欲求はあるが、トレセンで記録のことを聞いても「まあ、長くやっていれば…ね」という雰囲気の返答が多かった。だが、「JRA・GⅠ完全制覇」は自身もコンプリートしたい記録なのだと思う。前人未到。というか、今後に達成できる騎手もいないのではないか。ホープフルSが新設されてコンプリートが遠のいた時も、ちょっと残念がっていた記憶がある。

 ドウデュースは武豊に合っているタイプの馬だ。接戦に強い。新馬戦は首差の辛勝。残り150で先頭に立っても突き放せなかった。続くアイビーSも首差。残り300で先頭に立ってから、やや集中力を失い、2頭に迫られてた。明らかにまだ力を出し切っていない。ということで、3番手付近で運んだ2戦とは違い、今回は中団8番手から進めた。このくらいの位置の方が最後まで力を振り絞ってくれるという読みだ。これがピタリと当たる。これまでの競馬と違って必死に四肢を繰り出し、最後にセリフォスを競り落とした。力はあるが、出し切ろうとしない。そこをいかに出させるか。武豊騎手好みの「手のかかる馬」なのだろう。

 ついに素質の一端を垣間見せたドウデュース。当然、この先にも無限の可能性を秘める。ポテンシャルを開花させるのに定評のある友道厩舎。調教にもいろいろなパターンを持っており、どのカードを切りながらドウデュースを育てていくのか、非常に興味深い。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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