スポニチAI競馬予想SIVA

タダしい競馬の見方塾 ~アルゼンチン共和国杯~

[ 2021年11月9日 17:40 ]

ルメール騎手を背にアルゼンチン共和国杯を制したオーソリティ
Photo By スポニチ

 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は7日に開催された「アルゼンチン共和国杯」編。

 今週は重賞が4鞍行われたが、一番インパクトのあったこのレースを。前半1000メートルが63秒4の超スロー。ただ、残り1000メートルから徐々にペースが上がり続け、先団の馬は総じてアゴが上がる展開となった。そんな中、3番手を追走し、手応えもしっかり残していたのが昨年の覇者オーソリティ。しっかり抜け出し、2着マイネルウィルトスに2馬身半差をつける快勝だった。

 道中でペースが上がったことはすでに説明したが、それでいてラスト3Fは11秒1、11秒1、11秒9。ロングスパートを強いられて、その上で最後にもう1度ギアを上げるのだから、これは並大抵ではない。勝ったオーソリティの力はさすがというしかない。

 管理する木村哲也師は、調教停止期間が明けたばかり。このあたりのさまざまな経緯はスポーツ新聞で報じられているので詳述は避ける。私が言いたいのは、木村師不在期間の間、厩舎を必死に守っていたスタッフの頑張りだ。木村師が調教停止の間、馬は一時的に岩戸孝樹厩舎へと移された。移ったのは名義だけで、実質的に木村師が指揮を執っていたのでは、と思う人もいるだろうが、そんなことはない。木村師はこの間、経営への一切の関与を断たれる。スタッフはもとより、馬主への連絡もできなくなる。残されたスタッフはトップ不在(岩戸師のアドバイスはあるだろうが)の中、競馬に臨まなければならないのだ。

 実は木村師不在の中でも所属馬の成績は落ちなかった。慣れない馬主への連絡や、騎手の手配、賞金の管理などに忙殺される中で馬を仕上げ、懸命に踏ん張った。そのことが素晴らしいと思う。このアルゼンチン共和国杯優勝は、その奮闘したスタッフへのご褒美だったのでは、と思えた。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る