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タダしい競馬の見方塾 ~新潟記念~

[ 2021年9月9日 16:45 ]

マイネルファンロン(牡6)で新潟記念を制しガッツポーズするミルコ・デムーロ騎手
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 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は5日に開催された「新潟記念」編。

 最後の直線では17頭が外ラチまで目いっぱいに使っての追い比べ。勝った馬は大外のラチ沿いを伸びたマイネルファンロンだった。近年の競馬は馬場のどこが伸びるかをいち早くつかむことが重要となっているが、ここまで外へと広がる競馬は、そうない。

 マイネルファンロンは12番人気、2年5カ月ぶりの白星が6歳夏にして重賞初制覇となった。ご承知の通り、妹は今年のオークスを制したユーバーレーベンで、鞍上はともにM・デムーロ騎手だった。マイネルファンロンへは初騎乗。この血統と相性がいいことは間違いなく、妹がオークスで見せた特性を兄にも応用したと考えることができる。スタミナ十分で、追い続ければ、バテることなく伸び続けるという、この血統最大の特長を生かし切ったということだ。

 マイネルファンロンはこの夏、コンディションが非常に良さそうだった。巴賞では久しぶりに2番手で立ち回り、直線を向いていったんは先頭に立った。残り50でかわされて2着に終わったが、11戦ぶりの連対を果たした。続く函館記念は2番手を追走したが引っ掛かり、後続の早めの押し上げもあって14着に失速。迎えた夏3戦目の今回は出遅れ。だが、これまでに見せたことのない決め手を披露して差し切った。

 実はここまで出負けしたのは3歳春のレース以来。道中15番手を追走したのはデビュー以降、初めてのことだ。ここから先は想像でしかないが、馬は道中「うわー、こんな競馬したことないわ」(なぜ関西弁?)と思いながら走っていたはずだ。気持ちに、いい意味での刺激が入り、前向きな気持ちのまま直線を迎えた。展開とコンディションの良さが後押しして、差し切ったと筆者は考える。競走馬にとって気持ちに刺激が入ることは非常に重要だ。

 デムーロ騎手くらいのレベルになると、少々、出遅れた程度では慌てない。むしろ「このパターンで競馬ができるか試してみよう」と前向きに捉えることができる。そして、意外にそういう競馬が好結果を引き出すことがある。実績のある騎手の初騎乗には今後も注意していきたい。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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