365日 あの頃ヒット曲ランキング 7月

【1990年7月】壊れかけのRadio/徳永英明 別れから生まれたヒット曲

[ 2011年7月25日 06:00 ]

最近はカバー曲アルバムが大ヒットしている徳永英明
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 ★90年7月ランキング★
1 おどるポンポコリン/B.B.クイーンズ
2 にちようび/JITTERIN’JINN
3 THE POINT OF LOVERS’ NIGHT/TMN
4 夜にはぐれて/Wink
5 壊れかけのRadio/徳永英明
6 夜明けのブレス/チェッカーズ
7 さよなら人類/たま
8 太陽のKomachi Angel/B’z
9 女神たちの冒険/中山美穂
10 恋するパンクス/渡辺美里
注目Dear Friend/中森明菜

※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【壊れかけのRadio/徳永英明】

 徳永英明の10枚目のシングル。87年の「輝きながら…」の27万枚を上回る、33万枚をセールスしたヒット曲は、TBSドラマ「都会の森」の主題歌として話題になったが、曲が生まれた背景には、つらい思いもしたが、楽しくもあった時代を過ごした人との別れがあった。

 デビューは86年1月。マリンブルー音楽祭でグランプリを受賞した「Rainy Blue」は、スマッシュヒットとなり、透明感のある高音の歌声が評判となり、注目を浴びた。

 しかし、所属事務所は徳永と社長の2人だけ。音楽活動に専念すればいいはずのアーティストが、事務所の電話番をやったり、ファンの対応、ファンクラブ入会の手続きまでしなければならなかった。

 移動も社長が運転する中古の乗用車だったが、それでも徳永は手作り感がある毎日を楽しみながら歌っていた。その社長と音楽性の違いが感じられるようになり、別の道を歩むことになった。その時に作ったのが「壊れかけの…」だった。

 「本当の幸せって何だろうと、考えながら作った」。「輝きながら…」は詞も曲も他人が作ったもの、その後も曲は自分だったが詞は違っていた。「ヒットして名前が売れたのはうれしかったけど、シンガーソングライターとしてやっていけるのかどうか、いつも不安だった」と徳永。大事な人との決別という転機によって、ヒット曲が生まれた。

 闘病生活を経て、女性シンガーのカバー曲を歌ったアルバムが軒並みヒットした最近の徳永だが、音楽との出会いは中学時代。サッカー少年だったが、井上陽水の曲に感銘を受け、シンガーソングライターを志した。

 高校卒業後に上京し、デモテープを作りまくり、音楽関係者がよく出入りするという喫茶店でバイトをしながら、これはと思う人に売り込んだ。俳優養成所に入ったのも「音楽やっているて言ったら、主題歌でも作らせてくれるかなって思った」からだった。

 ようやく歌手としてデビューしたのが24歳と10カ月。25歳までにこれと決まった仕事がなかったら、保険の仕事をするように元保険の営業マンだった父親から言われていた。残り2カ月での土壇場ギリギリのデビューだった。

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