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【1997年7月】ひだまりの詩/オンエアご問い合わせ殺到!夫婦デュオ ル・クプル

[ 2011年7月21日 06:00 ]

目標3万枚が130万枚の大ヒットになったル・クプル
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 ★97年7月ランキング★
1 ひだまりの詩/Le Couple
2 Calling/B’z
3 How to be a Girl/安室奈美恵
4 大スキ!/広末涼子
5 WAになっておどろう/V6
6 For the moment/Every Little Thing
7 HIGH PRESSURE/T.M.Revolution
8 ひまわり/長渕剛
9 ESCAPE/MOON CHILD
10 Shangri―La/電気グルーヴ
注目硝子の少年/KinKi Kids
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【ひだまりの詩/ル・クプル】

 ドラマのディレクターも半信半疑で挿入歌に使った。が、放送翌日のフジテレビには問い合わせが殺到。翌週もそのまた次の週も、心癒す優しい歌声はドラマから聞こえてきた。

 夫婦デュオ「ル・クプル」(フランス語で「夫婦」の意味)が歌った「ひだまりの詩」は、フジテレビ系のドラマ「ひとつ屋根の下2」の中で流れ、一躍大ヒット。7月には3週連続2位となり、年間を通して130万枚をセールス。その前の2枚のシングルが合わせて1万枚に手が届くか届かないかといった世界だったことから比べれば、まさに天と地の差だった。

 予感はあった。ボーカルの妻、藤田恵美は「いい曲だな。人を幸せな気持ちにさせるオーラを発している。とりあえず3万枚」と目標を定めた。平均視聴率26・7%のドラマの後押しがあったとはいえ、飛ぶように売れるCD。ヒットする前に予定が入っていたインストアライブはかつて10人も集まればいい方だったのが、「ひだまり…」以降、150人の定員に1500人が集まり、整理券を配らなければならない状況にまで激変した。

 ともにカントリーバンド出身。夫の藤田隆二のバンドで恵美が臨時のボーカルを務めたのがきっかけで親密になった。恵美は幼少期、70年にヒットした、個性派俳優・左卜全が子どもたちと歌ってヒットした、「ズビズバー」でおなじみの「老人と子供のポルカ」のコーラスを担当し、中学卒業まで児童劇団に所属していた。

 デビューは94年。95年秋から26万円で購入した中古のワゴン車に乗って、約9カ月かけて全国631カ所の有線放送の営業所を回った。地道な活動もその時は奏功しなかったが、「ひだまり…」が発売されると、多くの営業所が「あの時の夫婦デュオ」と覚えていてくれた。積極的にCDを流してくれた営業所のバックアップもあり、有線からもリクエストが集まり、国民的ヒットに。年末の紅白歌合戦に初出場した。

 ヒットから10年。従来の路線を行こうとする夫と洋楽のカバーを志向する妻との音楽性の違いから夫婦は離婚。「ル・クプル」は解散ではなく、活動休止という形をとった。結婚18年目の破局によって、あの心温まる名曲をライブで聴くことは今は難しくなった。

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