【1970年７月】愛は傷つきやすく／ヒデとロザンナ最大のヒット曲で念願の紅白初出場

７０年代にヒット曲を連発したヒデとロザンナ
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　★７０年７月ランキング★
１　圭子の夢は夜ひらく／藤圭子
２　経験／辺見マリ
３　四つのお願い／ちあきなおみ
４　波止場女のブルース／森進一
５　愛は傷つきやすく／ヒデとロザンナ
６　希望／岸洋子
７　今日でお別れ／菅原洋一
８　自由の女神／黛ジュン
９　愛の旅路を／内山田洋とクールファイブ
10　笑って許して／和田アキ子
注目空よ／トワ・エ・モア
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【愛は傷つきやすく／ヒデとロザンナ】

　イタリア出身のロザンナ・ザンボンが２０歳の誕生日を迎えた７０年７月３日、８歳年上の出門英とのコンビで歌った５枚目のシングルはヒットチャートを上昇中。１カ月後に、レコード売り上げ１位を記録した。

　“ヒデロザ”こと「ヒデとロザンナ」が歌った「愛は傷つきやすく」はこの年、６６万枚をセールス。後に夫婦となる２人にとって最大のヒット曲となった。

　早口言葉のような歌い方が随所に出てくる、口ずさむのが簡単ではない歌は、逆に聴き手にインパクトを与えた。転調をはさんでのサビの部分の追いかけコーラスは見事で、来日３年目のロザンナは日本語をなかなかのもの。歌唱力のあるヒデの歌声が曲を引き締めていた。

　デビュー曲「愛の奇跡」が３５万枚のレコード売り上げを記録し、ＮＨＫ「紅白歌合戦」出場確実とされ、事前の雑誌取材に追われたが、結局は落選。あの時の悔しさ、みじめさをバネに２人には７０年こそ、と期するものがあった。

　この年の１１月に届いた出場決定の一報にもロザンナは「１２月３１日になるまで半分は信じていない。去年のことがあったから」と真面目に答えたほど。ヒデには特別の感慨があった。「無名時代に兄貴から“歌なんてやめちまえ”って言われた。その時、テレビでやっていたのが紅白だった。あの頃をよく思い出す。とにかく兄貴には、ここまで来た僕の姿を是非見てもらいたい」。

　思えば数奇な出会いだった。中央大在学中から歌っていたヒデは、過去に「水木英二」の名前でソロデビュー、続いて「ヒデとユキ」という男女デュオを結成。シングル「白い波」をリリースしたものの、ユキがレコード会社を移籍したため消滅。一時は食べていくために歌手のかたわら保険外交員やキャバレーのボーイをしていたこともあった。

　一方のロザンナはイタリアの音楽学校卒業後、日本でナイトクラブを回る楽団のリーダーをしていた叔父を頼って来日。日本語にも日本食にもすぐ順応し、赤坂のクラブで歌っていたところをスカウトされ、相方を探していたヒデと組むことになった。

　７５年には仕事をキャンセルし、極秘にハワイで結婚したため、一時期芸能界から干されたが、その後は徐々に復帰。ヒデは役者として頭角を現したが、９０年６月に結腸がんで４７歳の若さで死去。ロザンナには３人の子供が残された。