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【1983年7月】時をかける少女/宣伝費6億円 ユーミンが本気になった原田知世

[ 2011年7月16日 06:00 ]

デビュー当時の原田知世
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 ★83年7月ランキング★
1 探偵物語/薬師丸ひろ子
2 時をかける少女/原田知世
3 初恋/村下孝蔵
4 エスカレーション/河合奈保子
5 トワイライト~夕暮れ便り~/中森明菜
6 悲しい色やね/上田正樹
7 夏模様/柏原芳恵
8 め組のひと/ラッツ&スター
9 僕笑っちゃいます/風見慎吾
10 渚のライオン/早見優
注目青い夏のエピローグ/堀ちえみ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【時をかける少女/原田知世】

 83年7月16日、全国の東映系の映画館前には前夜から徹夜をする若者であふれかえっていた。薬師丸ひろ子主演の映画「探偵物語」と新人の原田知世主演の「時をかける少女」が封切られ、東京・渋谷では1回目の上映が2時間以上も前倒しになり、午前7時にスタート。初回終了後の、薬師丸、原田の舞台あいさつ見たさに2000人が集まった。

 松任谷由実作詞、作曲の映画と同名の主題歌を歌う原田はこの時まだ15歳。線はまだ細かったが、ユーミンが「久しぶりに本気になって教えた」と言うように、支えてあげたくなるような歌声と雰囲気が人気を集め、レコード売り上げはうなぎ上り。映画封切り前後には薬師丸の「探偵物語」に次ぐ2位に。最終的に59万枚をセールスした。

 2歳の時からクラシックバレーを学び、人前に立つことに臆することはなかったが、テレビで歌うのは苦手。「だって機械(カメラ)に向かって歌わなきゃいけないんだもの。なんか変な感じがして。それにスタジオには今までテレビで見ていた人ばかり。私がそこにいるのが不思議で…」。TBS「ザ・ベストテン」で浴衣姿で歌った際の笑顔がなんとなくぎこちなかったのは、テレビカメラのせいだった。

 俳優の真田広之に会えればそれでいい。妹の淡い想いを汲んだ姉が応募したオーディションで特別賞を受賞したことがすべての始まりだった。映画「伊賀忍法帖」で真田の相手役を探す「角川映画大型新人募集」で優勝したのは、後に薬師丸、原田とともに「角川三人娘」と呼ばれた渡辺典子だったが、原田は角川春樹プロデューサーの目に留まり、薬師丸のかつてのヒット映画「セーラー服と機関銃」「狙われた学園」のテレビ版に主演デビューを果たした。

 「時をかける少女」関連の宣伝費は計6億円。角川プロデューサーは「ひろ子に匹敵する女優になる。そのための先行投資」と言ってはばからなかった。映画公開から10日後にはミュージカル「足ながおじさん」にも挑戦。アクションスターに憧れていた少女はわずか1年の間に、多くの人から憧れの的になるアイドルとなっていた。

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