365日 あの頃ヒット曲ランキング 7月

【1985年7月】翼の折れたエンジェル/きっかけは泥棒 中村あゆみ 音楽?興味ない

[ 2011年7月13日 06:00 ]

 ★85年7月ランキング★
1 俺たちのロカビリーナイト/チェッカーズ
2 SAND BEIGE/中森明菜
3 あなたを・もっと・知りたくて/薬師丸ひろ子
4 翼の折れたエンジェル/中村あゆみ
5 Bye Bye My Love/サザンオールスターズ
6 デビュー、マンハッタン・ジョーク/河合奈保子
7 悲しみにさようなら/安全地帯
8 サイレンスがいっぱい/杉山清貴&オメガトライブ
9 今だから/松任谷由実・小田和正・財津和夫
10 BOYKのテーマ/菊池桃子
注目翼の折れたエンジェル/中村あゆみ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【翼の折れたエンジェル/中村あゆみ】

 音楽なんて興味なし、ロック?汗臭くて好きじゃない。デビュー前、これが中村あゆみの本音だった。

 デビュー3枚目のシングル「翼の折れたエンジェル」は日清カップヌードルのCMソングとしてオンエアされると、たちまち「ハスキーボイスで歌っている女の子は誰?」と話題になり、マスコミから取材が殺到。7月にはレコード売り上げもグングン伸び、ロックでありながら有線放送へのリクエストが殺到した。

 単身上京し、昼間は働き、夜はディスコに入り浸る生活を。自宅に泥棒が入りほぼ“全財産”を盗まれたことで、知り合いの飲食店に転がり込んだところ、音楽プロデューサーの高橋研と知り合い、音楽の道に足を踏み入れることになった。「翼の…」の作詞作曲は高橋だが、歌詞は高橋と別れた恋人とのことを描いたものだった。

 「もし、オレがヒーローだったなら…」という男のうめくような叫びは、決してヒーローにはなれない多くの若者の心の叫びでもある。中村がステージでシャウトすることで、その気持ちを代弁しているかのような感覚になり、高校生、大学生はポニーテールがよく似合う19歳の歌手の歌声に共感を覚えた。

 ただヒットしてもどこか冷めていた部分もあった。曲が売れて急に近づいてきた人、ウマい話を持ちかけてくる人、そこには芸能界の暗の部分があった。「ヒットはファッションみたいなもの。流行で終わらせないためには自分を忘れないこと。自分に一生懸命であることが本当のロックじゃないかな」といい聞かせていた。そのスタンスはずっと変わっていない。

 「何をやってもすぐ飽きちゃって、音楽もすぐ飽きるんだろうなって思っていたけど、これが歌ってみると掘っても掘っても掘り尽くせなくて」。「翼の…」がヒットした頃、中村はそう話していた。一時休止もあったが、デビューからまもなく30年。50歳、いや還暦を迎えても恐らくロックシンガー・中村あゆみであることは間違いないだろう。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る