365日 あの頃ヒット曲ランキング 7月

【1973年7月】他人の関係/あえて機械的に…金井克子 31枚目にして初の大ヒット

[ 2011年7月27日 06:00 ]

06年、38年ぶりに音楽番組で顔をあわせ、ポーズを取る(左から)女優・奈美悦子、歌手の金井克子、女優・由美かおる。3人とも西野バレエ団出身、日本テレビの歌謡番組「レ・ガールズ」で活躍した
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 ★73年7月ランキング★
1 恋する夏の日/天地真理
2 危険なふたり/沢田研二
3 裸のビーナス/郷ひろみ
4 君の誕生日/ガロ
5 わたしの彼は左きき/麻丘めぐみ
6 他人の関係/金井克子
7 恋にゆれて/小柳ルミ子
8 避暑地の恋/チェリッシュ
9 女のゆめ/宮史郎とぴんからトリオ
10 情熱の嵐/西城秀樹
注目心の旅/チューリップ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【他人の関係/金井克子】

 退廃的なメロディーに乗った曲が73年の夏にヒットした。モデル出身の金井克子が歌う「他人の関係」は、自身31枚目のシングルレコードにして初めて、ヒットチャートのベストテン入り。レコード売り上げは67万枚を記録した。

 印象的なのが冒頭の「パッパッパパパ」というスキャット。ここで引き付けられると、やや機械的に、そしてささやくように歌う金井の歌声が耳に残る。両手を左右にかざす振り付けも独特で、一度見たら忘れないインパクトがあったが、それもこれも金井にヒット曲を、というスタッフが練りに練った戦略だった。

 レコード会社をCBSソニーに移籍した金井に、酒井政利プロデューサーが作曲家の川口真に「なんとかヒット曲を」と依頼。由美かおるや奈美悦子らと同じ西野バレエ団出身で、活動的なダンスをするイメージのあった金井に、川口はあえて無機質な歌い方をさせ、まるでロボットがささやいているように歌うことを求めた。

 これが奏功した。他にはないオリジナルのイントロと振り付けは瞬く間に話題となり、老若男女の知るところに。日本レコード大賞では、そのオリジナリティーが認められ、企画賞を受賞した。

 終戦後、中国から帰国し、7歳の時に姉に連れられて鑑賞したバレエに感激、8歳で西野バレエ団の門をたたいた。天性の運動神経とリズム感でめきめき上達。14歳で読売テレビ「バレエ劇場」にプリマとして出演。芸能界デビューにいたった。

 舞台では堂々と歌い、演技しているように見えるが、実はかなりのあがり症。「ステージに立つ前は口がきけなくなるし、震える。ひどいと歩けないこともある」と意外な一面をのぞかせる。

 82年に歯科医と結婚。その頃から新曲を発表しなくなったが、ミュージカルに出演し舞台で活躍。一時、レイノー症候群という、両手に血液が流れなくなる難病にかかり治療に専念。病を克服して、徐々にディナーショーなどで歌うようになり、最近では懐メロ番組であの歌声を聞くこともしばしば。若い頃のプロポーションを維持しているのは、さすが名門バレエ団出身である。

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