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【1982年7月】聖母たちのララバイ/応募28万通!岩崎宏美 急きょレコード化で久々1位

[ 2011年7月7日 06:00 ]

82年11月17日、日本歌謡大賞でグランプリを受賞し号泣する岩崎宏美
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 ★82年7月ランキング★
1 聖母たちのララバイ/岩崎宏美
2 ハイティーン・ブギ/近藤真彦
3 北酒場/細川たかし
4 $百萬BABY/Johnny
5 夏のヒロイン/河合奈保子
6 ラ・セゾン/アン・ルイス
7 赤道小町ドキッ/山下久美子
8 サマーツアー/RCサクセション
9 匂艶THE NIGHT CLUB/サザンオールスターズ
10 聖少女/西城秀樹
注目哀愁のカサブランカ/郷ひろみ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【聖母たちのララバイ/岩崎宏美】

 半年以上もファンをじらしにじらせてリリースしたレコードは、爆発的に売れた。5月21日発売の岩崎宏美が歌った「聖母(マドンナ)たちのララバイ」は、オリコンチャートで6月7日付で1位に。岩崎にとって、75年10月の「センチメンタル」以来、6年半ぶりのトップで、7月に入っても新曲が次々と登場する中で、上位をキープし続け、最終的に79万枚をセールスした。

 ご存知日本テレビ系「火曜サスペンス劇場」のエンディングテーマ。当時、連続ドラマの主題歌に力を入れるのはセオリーだったが、毎週放送とはいえ単発ドラマにテーマ曲、しかもそれなりの歌手に歌ってもらい、レコード化する予定はないという考えはあり得ない発想だった。

 ところが、ドラマのラストで岩崎の歌声とともにドラマのエピローグ的なシーンが重なり合うと、日テレには思わぬ反響が殺到した。「あの曲のタイトルは?」に始まって「ドラマを見ていてほとんど泣いたことがないのに曲が流れてきたら号泣してしまった」「とても癒された」など、早くレコード化してくれというリクエストがひっきりなしに届いた。

 4月に視聴者プレゼントで200本のカセットテープをプレゼントすると告知したところ、届いたハガキの枚数はなんと28万枚。もうレコード発売をしないわけにはいかなかった。
 翌83年5月からは同じく岩崎が歌う「家路」が2代目のエンディングテーマとなり、その後も竹内まりやの「シングル・アゲイン」など、通称「カサス」から大ヒット曲が続出した。毎回ストーリーも出演者も違う単発のドラマが、実に24年間も続いたのは、「聖母たちの…」のヒットが弾みをつけたといっても過言ではないだろう。

 岩崎の周囲はこの曲で日本レコード大賞をという思いが強かったが、レコ大の審査基準に「日本国内で作詞、作曲されたもので、日本人が制作したもの」という項目があった。「聖母たちの…」の作詞は山川啓介だが、作曲は英国人のジョン・スコット。この時点で失格となってしまった。

 くしくも82年のレコード大賞は、新人時代に一生に一度の新人賞を争った細川たかしの「北酒場」。岩崎はそのうっぷんを晴らすかのように、レコ大と並ぶもう一つの大賞、日本歌謡大賞を受賞。審査員による投票で2位の松田聖子の8票に対し、33票とぶっちぎりの大勝だった。

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