365日 あの頃ヒット曲ランキング 7月

【1978年7月】Mr.サマータイム/大人の雰囲気 サーカス 毛色が違うヒット曲

[ 2011年7月20日 06:00 ]

 ★78年7月ランキング★
1 モンスター/ピンク・レディー
2 Mr.サマータイム/サーカス
3 林檎殺人事件/郷ひろみ・樹木希林
4 ダーリング/沢田研二
5 飛んでイスタンブール/庄野真代
6 時間よ止まれ/矢沢永吉
7 かもめが翔んだ日/渡辺真知子
8 プレイバックPart2/山口百恵
9 東京ららばい/中原理恵
10 宿無し/ツイスト
注目ジョニーの子守唄/アリス
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【Mr.サマータイム/サーカス】

 意味深な歌詞、ムードのあるメロディー…歌謡曲やニューミュージック全盛の時代に、男女4人組のコーラスグループ「サーカス」が歌った「Mr.サマータイム」は、まさに大人の色気を持った、他とは明らかに毛色の違うヒット曲だった。

 カネボウの夏の化粧品のキャンペーンソング。男女4人の美しいハーモニーが、ひと夏の過ちを犯した女性の悔恨をより物悲しく表現しているが、発売から3カ月が過ぎた7月に入ってオリコンチャートで1位を獲得。TBS「ザ・ベストテン」にも出演し、その落ち着いた雰囲気とは裏腹に、アイドルグループのようにもてはやされ、テレビの歌番組に引っ張りだこ。65万枚のレコードが売れた。

 サーカスの事実上のデビュー曲だが、グループのために書き下ろされたものではなかった。この2年前、フランス人による作品として日本でも発売。しかし、泣かず飛ばずでほとんど知られぬまま埋もれていたが、CM制作にあたり、候補曲として名前が挙がり、売れっ子作詞家の竜真知子があらためて詞を訳し、アレンジを加えてリリース。CMに出演していた、モデルの服部まこ(現、真湖)の人気もあって、曲がクローズアップ。加えて、姉と弟2人、さらにいとこというユニークなメンバー構成も話題となった。

 メーンボーカルの叶正子はサーカスとして出る前に、3人組ユニット「ピーマン」としてレコードデビュー。77年、サーカス結成に当たり、オーストラリアに留学し、モデルとしても活躍していたいとこの卯月節子を誘った。当初は別の男性2人との4人組だったが、「Mr.サマータイム」世に出てからは、叶の弟2人が加わった。

 この「Mr.…」と翌79年に48万枚を売った「アメリカン・フィーリング」で2年連続紅白歌合戦にも出場。NHKが好みそうな洗練されたコーラスグループという印象が強いが、「Mr.…」の次にリリースされた「愛で殺したい」は、同局での「要注意曲」に指定され、いわゆる放送禁止になった。「歌詞の内容が卑猥である」というのがその理由だった。

 「Mr.…」に比べ、11万枚のセールスと不発に終わったこともあって、それほど話題にはならなかったが、当時は「どこに問題があるのか」と音楽関係者からNHKの不可解な基準がやり玉に上がる事件があった。今から30年以上も前の話である。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る