久保王将、渡辺棋王 吹雪舞う大阪の戦い 熱い探り合い

[ 2019年1月27日 05:30 ]

第68期王将戦7番勝負第2局第1日 ( 2019年1月26日    大阪府高槻市・山水館 )

<王将戦7番勝負第2局第1日>真剣な表情で熟考する久保王将(撮影・成瀬 徹)
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 久保利明王将(43)に渡辺明棋王(34)が挑む第2局が26日、始まった。戦型は先手久保のゴキゲン中飛車模様でスタート。昼食休憩後は急転スローペースになり、歩はぶつかったが交換もないまま久保が43手目を封じた。久保がタイか、渡辺が連勝か。27日の2日目は、午前9時から対局が再開される。

 窓外を雪が舞う対局室に2人の熱気が充満した。対照的に盤上では静かな駒組みが進み、[後]6五歩と初めて駒がぶつかったのは38手目、初手から6時間あまり後。久保が31手目[先]5九飛とした昼食休憩時、「(午後に)大駒がぶつかる展開もある」とした渡辺だが、2日制特有の読み合い、腹の探り合いが続き、「お互い手損しあう、よく分からない展開です」と封じ手後、苦笑いした。

 久保は8冠中唯一の振り飛車党。アマチュアには親しみ深い戦法も、プロでは近年減少傾向にある。開局後すぐ飛車を振る一手の負担が大きいとされ、「自分が活躍すればまた増えていく」と久保。その歯止めになることを励みにするロマンチストだ。

 一方の渡辺は居飛車党の第一人者。久保とのタイトル戦は2011年棋王戦以来2度目で、その時は3勝1敗で久保が防衛した。

 当時話題になったのが渡辺の「ゴキゲン中飛車を終わらせる」。居飛車党の気概を示す発言を「ゴキゲン中飛車の勝率が高く、大流行していた時期ですね」と懐かしむ。ゴキゲン中飛車とは創始者・近藤正和六段(47)の朗らかな人柄によるが、有力戦法へ育て上げたのが久保。

 2014年王将戦ではその渡辺が採用して注目された。挑戦者の羽生善治3冠相手に第4局に続いて3勝3敗の最終局でも取り入れ、防衛に成功した。勝利のためスタイルを変える柔軟さを持つリアリストだろう。

 久保は敗れた第1局に続いてゴキゲン中飛車を連採した。[先]5六歩は消費時間0分が示す用意の初手。渡辺相手ゆえの思惑すら感じさせる戦型選択だった。

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