麻央さん死去から1年 海老蔵“妻の願い”24日、植樹の輪広げる

[ 2018年6月22日 05:30 ]

昨年の「ABMORI2017」で勸玄くん(手前)と植樹する市川海老蔵
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 22日に妻の小林麻央さん(享年34)を亡くして1年となる歌舞伎俳優の市川海老蔵(40)が、24日に長野・志賀高原で毎年恒例の植樹イベント「ABMORI(エビモリ)」を行う。海老蔵の発案に麻央さんが協力する形で2014年に始まったイベントだ。植樹に込めた夫婦の思いを今年も継いでいくことをスポニチ本紙に語った。23日には麻央さんの仕事関係者を中心に、都内で「偲(しの)ぶ会」が開かれる。

 4年前、長野で生まれた植樹の輪。海老蔵はそれを今、全国に広げていきたいと考えている。

 「この活動をまた新たな土地で展開できればと思っています」

 その第一歩が福島だ。11月に南相馬市鹿島区で行われる植樹祭への参加を決めた。東日本大震災で失われた海岸防災林の再生を目指す。

 「以前この地で麻央が植樹したこともあり、ご縁があってお手伝いさせていただくことになりました」

 麻央さんは07年に、当時キャスターを務めていた日本テレビ「NEWS ZERO」の取材で、福島県二本松市の植樹に参加。この時に出会ったのが生態学者の宮脇昭氏(90)だ。麻央さんが海老蔵に宮脇氏を紹介して生まれた長野での植樹。今度もまた、麻央さんが福島へと導いてくれた。

 ABMORIは13年8月7日、海老蔵のブログから始まった。地球の温暖化を危惧し、「なにかできないですかね?」と呼び掛けると、読者から「海老蔵の森をつくればいいじゃん」とコメントが返ってきた。やるべきことが、はっきり見えた。

 「子供たちの未来のために何ができるかと考えていた時に出合ったのが、麻央がつなげてくれた、植樹を通して環境を保護することでした」

 わずか10カ月後の14年6月に第1回を開催。5回目の今年は1000人の募集定員がわずか数時間で埋まった。地元の小中高生を中心に、若い世代も多く参加。海老蔵も長女・麗禾ちゃん(6)、長男・勸玄君(5)を毎年連れてくる。昨年は雨の中、レインコートで奮闘する姿があった。

 「今年も家族で参加予定です。2人とも楽しみながら植樹させていただいていますね」

 長野での過去4度の開催を通じ、確実な手応えを感じている。

 「この地の環境を守ることだけでなく、日本全体の環境意識が向上していけば、当初思い描いた“子供たちの未来のために”という大きな目標が達成できるのではないかと思っています」

 夫婦でつむいだ植樹の輪を全国へ。海老蔵の夢は麻央さんの願いでもある。

 ▼ABMORI 14年から毎年、長野県山ノ内町志賀高原で行われている植樹イベント。海老蔵が発案し、宮脇氏が監修。閉鎖されたスキー場のゲレンデ跡に植樹する。「DNAレベルでの森林再生」を目指し、現地で採取したドングリを植樹用の苗に育成。自生する針葉樹の稚樹の移植・育成も行う。これらは山ノ内町立東小学校の児童が担当。宮脇氏はこれまで国内外1700カ所以上で植樹指導し、紫綬褒章、勲二等瑞宝章などを受章。

 ▼麻央さんの功績 麻央さんは闘病中の16年9月1日にブログ「KOKORO.」を開設し、身の回りの出来事や家族、自身の病状などを前向きにつづった。その率直な思いに共感する人が続出。英BBCの「100人の女性」にも、影響力があり、人の心を動かす存在として選ばれた。麻央さんの乳がん公表後、各地で検診への関心の高まりが報告されたほか、麻央さんの姿を励みに病気と闘う人も増えた。レスリングの全日本選抜選手権(今月16日)の女子68キロ級で、2年ぶりの実戦復帰で優勝した渡利璃穏(りお、26)も、悪性リンパ腫で闘病中、麻央さんから元気をもらった一人だ。

 ≪市川ぼたん亡き義姉に「最善尽くすことが一番」≫市川海老蔵の妹で舞踊家の市川ぼたん(39)と中村橋之助(22)が共演する創作舞踊「裁SAI カルメン2018」(22〜24日、東京・国立劇場小劇場)の公開稽古が都内で行われた。公開初日の22日が義姉・麻央さんの命日であることに、「最善を尽くすことが麻央さんにとって一番だと思います」と思いを語った。

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