藤井「五段1勝」、自身最多230手 王将戦予選次戦は師弟対決

[ 2018年2月6日 05:30 ]

昇段して初めての対局に散髪して、少しさっぱりした髪形で姿を見せた藤井五段
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 最年少棋士の藤井聡太五段(15)が5日、大阪市内の関西将棋会館で指された第68期王将戦1次予選の6組1回戦で南芳一・九段(54)と対戦し、これまで自身最多の230手で勝利。1日に昇段したばかりの五段としての初対局を白星で飾り、2回戦(対局日未定)では師匠である杉本昌隆七段(49)と公式戦で初めて対戦する。

 髪を少しカットし、爽やかな雰囲気を醸し出して対局場入りした藤井。それが9時間たった終局後に、こんなに激変していようとは。まさしく疲労困憊(こんぱい)。「仕掛けられた辺りから形勢をそがれてしまった」。勝ったのに、口から出るのも反省の言葉ばかりだった。

 この日の相手の南は第37、38、40期の3期にわたって王将に君臨した、タイトル計7期の強者。昼食を挟んだ午後に攻勢に出られると、一方的に攻め続けられた。棋士室でも「1対9ぐらいで厳しい」との声も漏れる絶体絶命の状況。そこから耐えに耐えて何とか逆転勝ちしたものの、手数は昨年7月の上州YAMADA杯で三枚堂達也六段(24、当時は四段)に苦杯をなめた時の219手を更新する自己最多となった。

 勝因についても「幸運でした」と答えるのがやっと。1日に行われた順位戦C級2組の勝利で、来期の昇級と中学生初の五段棋士の称号をつかんでからわずか4日。五段初勝利の味も「かなり苦しい将棋だったので。そこについては特に…」と素っ気なかった。昇段したとはいえ、簡単に勝てる世界ではないことを改めて痛感させられた日となった。

 それでも、2回戦で師匠と公式戦で初めて対戦することが決定。「対局に臨むからには全力を尽くしたい」と疲れた表情の中でも前を向いた。王将戦は現在、久保利明王将と挑戦者・豊島将之八段が、第67期のタイトルを争う7番勝負の真っ最中。挑戦者の座をつかめば両者のどちらかと来年の7番勝負で対戦することになる。そのためにもまずは師匠の壁を越える必要がある。

 ≪南九段力尽く≫南九段は果敢な攻めで初対戦の藤井を追い詰めたが、最後に力尽きた。終局後は「よくなりすぎて、だいぶ間違えた」と反省しきり。それでも先月、棋界に20人しかいない800勝棋士の仲間入りをし、将棋栄誉敢闘賞を受賞したベテラン棋士の実力をみせた。

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