中畑清氏 侍投手の創意工夫が日本のレベル上げる

[ 2023年4月18日 05:00 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】しびれたね。14日のロッテ―オリックス戦。佐々木朗希と山本由伸の初対決が実現したんだ。

 絶対負けられないWBC準決勝、メキシコ戦で継投した2人。両チームともエースじゃ負けられない。普通は直接対決を避けようとするんだけどね。よくぞぶつけてくれた。

 勝ったのは朗希。4回までに10三振を奪い、5回まで一人の走者も許さなかった。7回を1安打無失点。WBCで最高のコーチ、ダルビッシュ(パドレス)に教わったスライダーが効いたね。去年も持ってたけど、曲がりが鋭くなった。真っすぐとフォーク主体の投球に新たな勝負球が加わったのは大きい。今季2戦2勝。13回をわずか2安打に抑えて無失点。奪三振は22を数えている。

 一方、敗れた由伸も6回を5安打1失点、9奪三振。左足を上げずに滑らすような独特の新フォームとボールが一致してきている。去年まで2年連続投手4冠に輝きながら現状に甘んじることなくさらなる挑戦。自分で考え、工夫してるのが凄いよね。

 工夫といえば、大谷翔平(エンゼルス)もそうだよね。ピッチクロックが導入された今季の大リーグ。走者がいないときは15秒、走者がいたら20秒以内に始動しなくちゃいけない。始動のタイミングを球審に分かりやすく示すため、セットポジションから左足をいったん後ろに下げてから上げていく練習をしていた。11日のナショナルズ戦ではやらなかったけどね。いろんな可能性を考えて準備してるんだよね。

 3年後のWBCで大リーグ同様のピッチクロックが導入されることになったら、日本のプロ野球もそうなるだろう。そのときは大谷の先駆者としての工夫が参考になる。ダルビッシュから大谷、そして由伸、朗希…。日本を代表する投手の創意工夫が日本球界全体のレベルアップにつながっているんだよね。

 さて、朗希と由伸の対決はあと何回見られるのかな。ともに近い将来、活躍の舞台を大リーグに移すだろう。由伸は早ければ今オフにも…。そうなれば国内での対決は今年しか見られないことになる。次のこのカードは28日からの京セラドーム3連戦。ローテーションが気になる。(本紙評論家・中畑 清)

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2023年4月18日のニュース