阪神新助っ人ビーズリー 大野豊氏が“最速チェック” 「ストレート高めが力強い。日本流に適応できるか」

[ 2022年12月14日 05:15 ]

22年、ブルージェイズ時代のビーズリー
Photo By ゲッティ イメージズ

 阪神は13日、来季の新外国人としてジェレミー・ビーズリー投手(27=前パイレーツ傘下)との契約を締結したことを発表した。今オフの新助っ人補強の第1号で、背番号99、推定年俸80万ドル(約1億1000万円)。岡田阪神の「勝利の方程式」の一員と期待される本格派右腕の投球映像を、本紙評論家の大野豊氏(67)が最速で分析した。

 映像を見る限り、投げ方はコンパクトながら、パワーピッチャータイプだろう。特にストレートは高めが力強い。ベルトから上、胸元辺りに投げ込み、見逃せばボールかもしれないが、球威でバットを振らせることができている。外国人特有の上体投げで、腕を振り切っても体は回っておらず、体の前でバーンと球を押し出すようなイメージだ。

 一方で変化球は、スプリットが非常にいい落ち方をしている。スライダーのキレも非常にいいし、球速も速い。高めの強いストレートと、変化量の多いスプリット、横曲がりでキレのいいスライダー。それ以外の球種もあるのかもしれないが、この3つの組み立てで勝負するのではないかとみている。投げた後に一塁側に体が流れてしまう部分があり、多少、球がバラつくところがあるので、そのあたりをどう修正するかだが、だいたいはベースの上でボールを操ることができている。

 一つ気になるところは、走者一塁の場面でも、走者なしと同じように大きく足を上げて投げていた。この場面の映像を見ただけでは分からない部分もあるが、日本では絶対に指摘されるだろうし、絶対に走られる。セットポジションのタイミングなども、日本流に適応できるかがポイントとなるだろう。日本で使用されているボールは、日本人にとっては投げやすいように感じるが、外国人投手は結構、苦労するケースがある。そこへの慣れも大事だろう。

 阪神は救援で起用する考えがあると聞いている。その適性は十分にあると思う。打者への投げっぷりもいいし、あの高めの真っすぐが通用すれば面白い。そうなればスライダーもより生きてくるし、スプリットとの高低差も武器となる。スライダーとスプリットには自信を持っているように見えたし、うまく操ることができれば、セットアッパーでも、うまくいけばクローザーもできるんじゃないかな。

 日本ではけん制やクイックなど細かいところをしっかりやらないといけないが、投球そのものは楽しみ。キャンプなどで実際に見てみたい。(本紙評論家)

 ◇ジェレミー・ビーズリー 1995年11月20日生まれ、米ジョージア州出身の27歳。17年ドラフト30巡目(全体895番目)でエンゼルスと契約。ダイヤモンドバックス在籍の20年8月11日にメジャー初登板。今季はブルージェイズで9試合に登板し、パイレーツ傘下でシーズン終了。メジャー通算18試合0勝1敗0セーブ、防御率5.84。1メートル88、106キロ。右投げ右打ち。


《第2のスアレス、PJの期待》救援5人衆が固まった。岡田阪神に加わる新助っ人第1号のビーズリーが、球団を通じて喜びの声を届けた。

 「日本でプレーする機会をいただいてタイガースに感謝するとともに、非常に光栄に思います。とても興奮していますし、甲子園球場のマウンドに上がる日を今から心待ちにしています」

 メジャーでは通算18試合で0勝1敗、防御率5・84と実績は少ないものの通算24回2/3で33奪三振を誇った。岡田監督も「後ろ(中継ぎ)は三振取れんと。ケラーと同じようなところで使うつもり」と期待。また、現在ではメジャーで活躍するスアレスは阪神入団前にメジャーの経験はなく、ジョンソン(PJ)も実績はなかった。それだけにビーズリーが第2のスアレスとなる可能性も十分だ。

 第1次政権時代は最強の救援トリオ「JFK」を確立。さらに分業制が進んだ今回は勝ちパターンは5投手程度で回す方針。すでに守護神には湯浅を最有力候補に挙げている。新戦力右腕が加わり岩崎、浜地、ケラーの4人のセットアッパー候補がそろい、「新・勝利の方程式」のベースが完成。強力ブルペン陣は来季も大きな武器となりそうだ。(山添 晴治)

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