黒田博樹氏が広島の新人10選手に訓示「入団がゴールではない」ドラ1・斉藤は高揚「ビックリ」

[ 2022年12月14日 05:00 ]

斉藤(左端)ら新人に語りかける球団アドバイザーの黒田博樹氏(球団提供)
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 広島の育成を含む新人10選手が13日、来季から球団アドバイザーを務める黒田博樹氏(47)から訓示を受けた。マツダスタジアムの見学中に初対面。「入団がゴールではない」との金言を胸に、ドラフト1位の斉藤優汰投手(18=苫小牧中央)は、プロで活躍して親孝行をすると誓った。

 球団アドバイザーの初仕事は、新人へのサプライズだった。マツダスタジアムを見学中の新人が三塁側ブルペンに入ると、黒田氏が突然現れた。直立不動の10選手の前で行った約5分間の訓示。1年目の心構えを説いた。

 「自分は入団したときに、そこでゴールテープを切ったような気持ちになっていた。ここが本当のスタートだともう一度頭に入れて、しっかりと来年に向けて準備してほしい」

 同氏は96年ドラフト2位で入団した。即戦力として期待されながら、プロ1年目の97年は6勝9敗と負け越し、プロ2年目の98年は1勝のみ。入団直後の苦しんだ日々を新人への教訓とした。

 「来年、再来年とまた君たちみたいな素晴らし選手が入ってくる。そこはアマチュアと違うところという話もした。厳しいことを言っていいのかと思ったけど、それだけ厳しくもあり、素晴らしい世界だと伝えたかった」

 新入団選手発表会見から一夜明けて行われた施設見学。ここに球団OBが講師役として登場するのは異例だ。同氏は偶然にも所用で広島入りしており、新井監督からも依頼があったことで、新人との初対面が実現した。

 質問の時間を設けても、あまりに突然の訪問とあって誰からも手が上がらなかった。その中の1人、ドラフト1位の斉藤は「お会いできるのは、もっと先だと思っていた。こんなに早く会えてビックリしています」と高揚しながら振り返った。

 「そこ(プロ入り)がゴールではない。マツダスタジアムで投げることが一番の親孝行になるというお話をいただきました」
 同氏の得意球だったツーシームに一度挑戦したこともあるほど憧れの存在。「機会があれば(ツーシームの)コツなどを聞いてみたいです」と次回の対面へ質問を温めておく。

 「一度も1軍に出場せずに終わる選手もいるとおっしゃっていた。その1軍を目指して、しっかりとやっていきたいです」

 球団アドバイザーとしての契約は来年1月から。本格指導を待ち切れない球団やファンの思いをかなえるかのように、早くも若手のサポートへ動き始めた。(河合 洋介)

 【レジェンドに緊張】黒田氏との初対面に、新人はそろって驚きの表情を見せた。ドラフト3位の益田(東京ガス)は「今日から気持ちを緩めず、黒田さんの言葉を頭に入れながらやっていきたいと思います」と気を引き締めると、同6位の長谷部(トヨタ自動車)は「(言葉の)重みが違いました。一日一日を大切にしたいです」と決意した。同氏に憧れる同5位の河野(大阪ガス)は「あまりにビックリして(訓示の内容を)思い出せない」と頭をかいた。

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2022年12月14日のニュース