浦和学院が守る野球の原理原則「準備、確認、実行」

[ 2022年3月29日 05:30 ]

第94回選抜高校野球大会第9日第1試合・準々決勝   浦和学院6―3九州国際大付 ( 2022年3月28日    甲子園 )

<浦和学院・九州国際大付>6回、浦和学院・伊丹は左越えにソロ本塁打を放ち森監督(左)に迎えられる(撮影・後藤 大輝)
Photo By スポニチ

 【秋村誠人の聖地誠論】野球には原理原則が必ずある――。ヤクルト担当をしていた90年代の初め、野村克也監督がよく口にした言葉だ。そして、こうも言っていた。「いい仕事をするために大事な3つの要素を知っとるか?準備、確認、実行の3つや」。7年ぶりのベスト4を決めた浦和学院(埼玉)にその3大要素が見えた。

 象徴的なシーンがあった。2点を勝ち越した6回。なおも1死一塁の場面で、九州国際大付(福岡)が伝令を送って内野手がマウンドに集まったとき、次打者の5番・高山維月(3年)が両足にレガースをつけたまま打席に入ろうとしたのだ。マウンドにはまだ内野手が集まっている。急いでレガースを外す様子を見て、そんなに慌てることはないのにと思ったが、何も慌てたわけではなかった。早く打席に入り、準備を整えたかったのだ。

 各自のルーティンもあると思うが、浦和学院は打席に早く入る選手が多い。早めに構え、状況や狙い球を確認し「さあ、来い」と投球を待つ。それは打席だけではない。同点の8回1死一、二塁の場面。ここでも、守備のタイムで内野手がマウンドに集まっている間、二塁走者の伊丹一博(3年)がスタートを繰り返し、一塁走者の金田優太(3年)は両手を広げて本塁と二塁方向を確かめるようにスタートする。「準備」と「確認」だ。その直後、鍋倉和弘(3年)の決勝3ランが飛び出すが、2人の走者の準備と確認は決して無駄とは思わない。

 森大監督(31)の父である名将・士前監督は「新生浦学だ」と言ったが、根底にあるものは変わらない。甲子園では何が必要かを分かっているのだろう。今大会で4本塁打が生まれた要因とも無関係ではないはずだ。

 しっかり準備し、確認し、実行すれば、甲子園という舞台では結果に結びつく。それも野球の原理原則だ。(専門委員)

続きを表示

2022年3月29日のニュース