イチローさんの指導実現させた高松商監督 世界イチの指導「とんでもない。こんなのを見ていていいのか」

[ 2021年12月12日 18:25 ]

高松商業高校の指導に訪れ、練習後笑顔で記念撮影するイチローさん(中央)ら
Photo By 代表撮影

 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(48)が12日、春27回、夏21回の甲子園出場を誇る香川県の高松商業で選手指導を行った。11日から訪問しており、指導2日目。今年行った選手指導は、国学院久我山(東京)、千葉明徳に続き3校目となり、年内の指導は今回で最後となる。

 同校は今夏の甲子園3回戦で、イチロー氏が昨年12月2日から3日間指導を行った智弁和歌山に敗れた。試合後に長尾健司監督が「イチローさんに教えられたことで、智弁和歌山は強くなった。ウチにも来てほしい」とラブコールを送ったことがきっかけで実現した。

 長尾監督は「僕はあまり聞いていないんですけど、子供たちにとっては一言一言が重い言葉として心に残って、これから夏に向けて、その言葉をしっかりと胸に刻みながら、日々、練習しようかなと。逆に楽しみにしています。いい2日間だった。練習するよりも。1カ月分の練習をした感じです」と選手の成長を楽しみにした。

 智弁和歌山に敗戦後に発した言葉については「真意、というか、智辯和歌山のやっぱり、全国で勝つためには、智弁和歌山のような落ち着きと積み重ねたもの(が必要)。積み重ねた自信ですよね。彼らの。あるんだろうなと。その自信を植え付けるために、イチローさんの一言が多分、この冬、彼らを強くしたと」とした。

 また「イチローさんが言っていたんですけど、一冬で全然変わってくると。がらっと違うチームになったと言っていたんですけど。何だろ、この落ち着きというか、ピンチにも動じない。そう思った時に、精神的な部分、支えてきたもの。もちろん、中谷監督が一番だと思うんですけど、イチロー選手との出会い。世界の選手の出会いが大きかったと思っただけで。(夏の敗退直後に)来てください、とは言ってはいないんです(笑)。イチローさんが来たかどうかの差があったと思ったので。でも、ありがたいことです。このまま終わってほしくないです」と語った。

 「本当に継続は力なり、ですから。イチローさんの言葉だと思いますから。日々、前進ですから。前進であり、やっぱり、全て準備から入っていく人なので。日々の練習の準備の積み重ね。一日一日、何が成長したか感じながら」と考え続けることが成長に繋がるとした指揮官。

 イチロー氏自らフリー打撃を行うなど実演しての指導に「世界ナンバーワンのバッターですからね。とんでもない。いいのか、という感じですから。こんなのを見ていていいのか、という」とにんまり。

 最後にイチロー氏からプレゼントされた黒のバットについては「一応、毎回、練習の時に持ってきて、飾っておこうかなと。毎回、下げていった方がいいのかなと。ずっと置いていたら、取られるので」と盗まれないために用心するようだ。

 そして「僕らはもちろん、上を目指してやっているんですけど、子供たちには目の前のアウト一つを全力で取る、と。目の前のアウトに全て、準備していくと。一球、打席に立ったら一球に準備していくのをやっているので、この気持ちは変わらずに、一戦必勝のために、プレーボールがかかった時に、夏の大会、僕が何もすることがないなっていう風に思えるように準備したい」と、来夏の甲子園出場へ視線を向けた。

続きを表示

この記事のフォト

2021年12月12日のニュース