「日本一になるんやろ」 智弁学園・小坂監督の円陣でナイン発奮 9回の逆転サヨナラにつなげる

[ 2021年8月27日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権 準々決勝   智弁学園3-2明徳義塾 ( 2021年8月26日    甲子園 )

<明徳義塾・智弁学園> 智弁学園・前川(右)はサヨナラ打の岡島の肩を抱いて笑顔(撮影・大森 寛明)
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 智弁学園は準々決勝で明徳義塾に逆転サヨナラ勝ちし1995年以来、26年ぶりの4強入りを果たした。1点を勝ち越された直後の9回、連打と連続死球で追いつき、岡島光星(3年)が右前にサヨナラ打を放った。27日は休養日で、28日に準決勝が行われる。

 一度は背中を見せた勝利の女神を、力で振り向かせた。9回、同点に追いつき、なおも無死満塁。「自分が決める。何が何でも振り抜くんだ」と自分に言い聞かせ、真っすぐを振り抜いた岡島光星の打球は二塁後方に飛び、背走する二塁手と前進する右翼手の間にポトリと落ちた。

 「落ちてくれと思って走っていた。気持ちを下げることなく打席に入れた。素直にうれしい。初めてのサヨナラヒットです」

 直前の守りで勝ち越しの1点を失った。最後の攻撃を前に組んだ円陣で小坂将商監督は言った。

 「もう一度つなぐ気持ちを思いだそう。日本一になるんやろ」

 先頭の垪和(はが)拓海が左前打。続く森田空の一打が勝利をグッと近づけた。1ボールからサインはバントだったが三塁手の猛烈なチャージを見てバスターに変更。ライナーで中堅左へ運び一、二塁に好機拡大。指揮官の「相手がシフトしてきたらバスターをかませと伝えていた」という高等戦術に応え、圧力をかけた。

 同点の7回2死二、三塁で米崎薫暉の左翼フェンス際の飛球を好捕した前川右京が「価値のある出塁だった」と死球で満塁。4番・山下陽輔も押し出し死球で同点。打席に向かう岡島に、エース西村王雅が伝令役となり「外の真っすぐを振り切れ」と指示。ヒーローは忠実に遂行した。

 「日本一を練習でも常に口に出してやってきた。積極的な打撃が最後にできました」

 1回戦から1→3→2と毎試合、打順が変わり、この日は5番。与えられる役目が違う中で準備を続け4試合連続安打。守備でも球際の強さに投手陣から信頼を寄せられる。献身的な姿勢に最後は運も味方した。

 準決勝の相手、京都国際には春の近畿大会準決勝で勝っている。自身が主将を務めた95年は準決勝で敗退。「ぜひ超えてほしい」と指揮官。歴史を塗り替える準備は整った。 (鈴木 光)

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