通算29打席目の快音だ 広島クロンがようやく来日1号「正直、多少の焦りと緊張があった」

[ 2021年3月8日 05:30 ]

オープン戦   広島2ー0ヤクルト ( 2021年3月7日    マツダスタジアム )

<広・ヤ>4回2死一塁、広島・クロンは左中間に2点本塁打を放ち塁を回る (撮影・奥 調)
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 広島の新外国人ケビン・クロン内野手(27=ダイヤモンドバックス)が7日、ヤクルトとのオープン戦で「来日1号」を放った。4回2死一塁で木沢から左中間に決勝2ラン。13打席ぶりの安打が対外試合9試合、通算29打席目での初本塁打となり、不振脱出への光が少し見えた。

 弾道が規格外の怪力を証明していた。4回2死一塁、カウント1―1。高めを狙った木沢の直球はクロンの得意とする低めに入った。腕が伸びて最も力の伝わるポイントで捉えると、ライナーであっという間に左中間席の最深部に突き刺さった。

 「しっかりと球を(バットの)芯で叩けたので非常に満足している。思ったような結果にならずに難しい部分もあったけど、今回はタイミングもしっかり合って捉えられた」

 ここまでの対外試合は24打数2安打(打率・083)で0打点。春季キャンプ中の打撃練習では推定150メートルの場外弾を放つパワーを披露しながら、実戦で持ち前の飛距離を発揮できていなかった。

 原因の一つが高めの直球と外角変化球を徹底する日本特有の配球。12打席連続無安打、全27打席で12三振。次第にバットに当てることを求めて上体が投手側に突っ込み、持ち前の強振が影を潜めた。

 「正直なところ、多少の焦りと緊張があった。たくさんの人の助言を聞きながら、リラックスして自分の打撃をしようと強く意識して試合に臨んだ」

 不振脱出のヒントは米国時代のルーティンにあった。試合前の打撃練習では6日同様に三塁ベンチ前で正面からのトスを打ち込む「フロントティー」を追加。極端に短い練習用バットを使用することで、低めの球に下半身を使いながら振り込む狙いがある。沖縄春季キャンプ中も打撃練習前に取り入れていた。

 「ルーティンを確立して、長所を前面に出す練習をしている。それが今日の本塁打につながったと信じている。これまで継続してやってきた大切なルーティンを常に取り入れることで、一番良い状態で打席に臨める」

 朝山打撃コーチからは「1カ月間付き合って、繊細な一面もあるのかなと感じる。これで気分も変わってくると思う」と変身を期待された。恵まれた体格に秘めていた憂うつな気持ちは、来日1号が晴らしてくれるはずだ。(河合 洋介)

  ▼広島佐々岡監督(クロンについて)周りも安心するし、特に本人はホッとしているだろう。これをきっかけに気持ちも楽になるんじゃないかな。

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2021年3月8日のニュース