“伝説入りだ”広島・九里の347球 狙うは開幕投手への道 「完投する投手はキャンプで球数投げる」

[ 2021年2月5日 05:30 ]

<広島キャンプ>佐々岡監督(後方)が見つめる中、ブルペンで347球の熱投を見せた九里 (撮影・奥 調)
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 広島・九里亜蓮投手(29)が沖縄春季キャンプ第1クール最終日の4日、今春2度目のブルペン投球で約2時間、347球と衝撃的な投げ込みを披露した。球数は過去に300球超えを経験した佐々岡真司(現監督)、黒田博樹のレジェンドを上回った。指揮官の目の前で熱投し、自身初の開幕投手に向けて猛アピールした。

 別の投手の球を受けていた会沢は、九里が予定している球数を聞くと、半信半疑の表情を浮かべながらブルペンを去った。いったんブルペンを離れた佐々岡監督が再び戻ってきても、九里は、まだ投げ続けていた。約2時間かけて投じたのは、なんとプロ入り後最多となる347球。衝撃的な球数だった。

 「投げ込む日をつくろうと思って投げた。疲れても強い球を投げられるようにするには、球数を投げて体で覚えるしかない」

 恐ろしいことに、球威が最高潮に達したのは、300球を超えてからだった。序盤は感覚が合わず何度も首をひねったが、150球以降は永川投手コーチを打席に迎えてギアを上げた。カーブ、チェンジアップを織り交ぜながら、最後まで腕の振りを緩めることなく余力を振り絞った。

 エースたちが歩んできた道とも言える。2000年の宮崎・日南春季キャンプでは、佐々岡真司が、当時の自己最多333球を投げ込んで、5年ぶりの開幕投手へと向かった。02年には黒田博樹が343球を数えて、翌03年から5年連続で開幕投手を務めた。球団OBの語り継がれる球数を知った九里も、自身初の開幕投手を目指して「レジェンド超え」を狙った。

 「佐々岡監督、黒田さんも先発完投する投手は、キャンプで球数を投げるイメージがある。毎試合、1回でも長く投げたいと思っているし、完投する試合を増やしていきたいという気持ちがあった」

 見守った佐々岡監督にも熱意は伝わっていた。「素晴らしいブルペンだった。僕らの時代と今では考え方も違う中で、本人が投げ込みの重要性を(感じている)。昭和の練習かもしれないけど、僕も黒田も当時は投げ込んだ。無駄ではないと思う」。キャンプ2日目に投じた120球と合わせて、第1クールだけで計467球。この先に開幕投手が待つと信じて、令和には似合わない我が道を行く。 (河合 洋介)

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2021年2月5日のニュース