セ・リーグ特別協賛社「JERA」 DH導入は「非常にいい議論」、プラスになる結論を

[ 2021年1月18日 09:00 ]

オンライン取材に応じたJERA社経営企画本部・企業価値創造部の横田太祐部長
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 コロナ禍に見舞われた昨季、プロ野球初の公式戦タイトルパートナー(特別協賛社)としてセ・リーグを支援したのがエネルギー事業会社の「JERA(ジェラ)」。同社の経営企画本部・企業価値創造部の横田太祐部長(50)がスポニチ本紙のオンライン取材に応じた。日本シリーズは2年連続でパ・リーグに4連敗。打倒パへの巻き返し策はあるのか。12年巨人以来9年ぶりの日本一奪還を願い、話はDH制を巡る議論にも及んだ。(取材・構成 後藤 茂樹)

 ――「JERAセ・リーグ」の船出としては、コロナの影響で過酷なシーズンだった。
 「当初想定していなかったことが起きた。開幕は延期され、セ・リーグはCSも中止され、交流戦もない。当社が主催するイベントも中止になりました。そんな中で、無事に協賛する1シーズンを終えられたことは、選手や監督・コーチ、球団スタッフ、関係者の方々皆さまに敬意と感謝の気持ちを表したいです」

 ――契約は3年だが、なぜ1年目にコロナ禍が、という思いは?
 「入場者は想定の8割減ぐらいですよね。最初はシーズンがないのではとも思った。感じたのは、野球がスタートしないと、他のスポーツもスタートを切れないということ。プロ野球を始めるからには安全対策、感染防止策を徹底されていた。単なるスポーツ団体ではなく、きちんとした組織として倫理観を持ち、やられていた点は非常に共感しました」

 ――一方で日本シリーズではセ優勝の巨人が、パ優勝のソフトバンクに2年連続の4連敗を喫した。
 「過去にはないですよね。タイトルパートナーとしてセ・リーグのチームに何とか日本一を奪還してほしい。今年は交流戦も復活しますが、過去15年でセの優勝は3度しかない。我々はサラリーマンですから、前に進めない時は何が課題か、見える化することが必要。日本シリーズは8年連続で負けているわけで、セ・パの差について6球団全体で課題を分析いただき、建設的な議論をしていただきたいと思います」

 ――巨人はコロナ下で過酷かつ過密日程となる今季の開催へ、選手の負担軽減のための暫定的なDH制の導入を提案している。
 「選手を守る手段としてDHを活用し、結果として選手も守られて日本一奪還につながるのであれば、そうした議論をぜひ進めていただいてとは思います。DH制導入だけが格差是正の決定打になるかというと、そう単純な話ではないとは思います。補強や育成にも影響する。ただ、建設的な議論がプロ野球界の活性化につながるならば、それは非常にいい議論かと思います」

 ――DH制に限らずオープンで建設的な議論が求められる、と。
 「選手が安全にプレーしていくためのDHと、パとの格差は何が原因でその中でのDH論と。コロナ下だけに、いろんな方面からDHを議論できるところかなと。6球団で、セ・リーグファンにとってもプラスになる結論が出るといいなと思います。JERAは2050年に発電事業から発生するCO2をゼロにする“ゼロエミ火力”という非常にチャレンジングな目標を掲げた。プロ野球もセ・リーグもチャレンジを続けている。共に将来に向かいチャレンジしている姿勢を、セ・リーグと一緒に打ち出せていければと思います」

 ≪巨人への対案出るか≫セ・リーグは19日、オンラインで理事会を行う。前回12月14日の理事会では巨人が山口寿一オーナー名で、選手の負担軽減へ今季限りの暫定的なDH制導入を提案。だが議論が深まることすらなく却下された。山口オーナーは「提案していくことは変わらずやっていきたい」とコロナ下で何らかの対策が必要と訴えており、他球団からの対案も含め行方が注目される。

 ▽JERA 東京電力と中部電力の合弁会社として15年4月に設立された。両社から国内外の燃料・火力発電事業を引き継ぎ、日本の電気の約3割をつくる発電会社。液化天然ガス(LNG)事業と、大規模再生可能エネルギー事業を手がける。会社名の由来は日本(Japan)、エネルギー(Energy)、新時代(eRA)の4文字から。本社は東京・日本橋で、名古屋市に西日本支社を置く。資本金50億円、従業員約4300人。

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