「井端式」ノックでエラー撲滅 川相臨時コーチが“名手”の姿勢を虎ナインに注入

[ 2021年1月18日 05:30 ]

オンライン取材に応じた川相氏

 巨人、中日で活躍し今春の阪神・宜野座キャンプで臨時コーチを務める川相昌弘氏(56=野球評論家)が17日、オンライン取材に応じ2年連続12球団ワーストのチーム失策数について言及。イージーミスの撲滅で大幅減少できると断言した。手本としてゴールデングラブ賞7度受賞の元中日、巨人の井端弘和氏(45=現侍ジャパン内野守備走塁コーチ)を例にあげ、基本を徹底させる意気込みを力強く語った。

 選手、指導者として輝かしい実績を残した川相氏が猛虎のためにひと肌脱ぐ。現在も読売新聞社の「スポーツアドバイザー」を務めており、オファーを受けた時は「正直びっくりした」と苦笑いしたが、阪神側の熱意に受諾を決断。ライバル球団の守備力強化へ腕まくりした。

 「映像を見させてもらった印象として、大半はイージーミス。普通にきっちりプレーしておけば、エラーは何十個かは全然減ると思う。そこをどうしていくかが課題。日頃の意識であったり、練習への取り組み方。そういうところをきっちりやっていれば、十分減ると思います」

 昨年末、球団に昨季の阪神選手が失策を犯した場面の映像を依頼。入念にチェックし、いずれもリーグワーストだった二塁11、遊撃17を含む12球団最多失策数85を大幅に削減できるという結論に達した。「致し方ないミス」もあったが、大半が「もったいないミス」。現役時代、堅実無比な遊撃守備で6度のゴールデングラブ賞を受賞した名手らしく意識面を含めた基本の徹底こそが一番の改善策とした。

 そのうえで、最高の手本としたのが、中日でともにプレーし、その後は中日、巨人で指導も行った井端氏だ。

 「井端は中日でも巨人でも全く変わらず、普通のゴロ捕球の練習を妥協しない。足をしっかり使って基本に忠実に毎日やっている姿を見て、やっぱり一流なんだなとノックしているこっちにも分かる。そういう選手に少しでも近づいてほしい」

 川相氏自身も現役時代の練習では、どんな平凡な打球も一球一球集中して丁寧にさばいたという。技術面以上に、その姿勢こそが今の阪神に必要なのではないかと感じている。

 この日は例年、故郷の岡山で主催する少年野球大会がコロナ禍で中止となったことで受諾後、初めて取材に応じた。宜野座での指導は基本的に2月1日から18日までだが、以降も仕事の都合が付けば指導可能。豊富な経験と技術、知識を猛虎に伝える。 (山添 晴治)

 《一塁守備強化にも全力》

 川相氏は本職の二遊間だけでなく、一塁守備の強化にも力を注ぎたい意向を示した。

 「一塁守備は近代野球ではすごく重要。(昨季)ボーアとマルテの2人で(リーグ最多)15失策していると思うんですけど、一塁でミスが多いと他の野手も送球するのにプレッシャーがかかる」

 新助っ人の外野手、ロハス・ジュニアの加入に伴い、今季はサンズが主に一塁を守ることが有力。外国人選手は春季キャンプにしっかり参加できるか不透明な部分もあるが、助言は惜しまない。

 「僕は一塁を1試合しかやったことがないけど、中日でウッズやブランコを指導しないといけない時期があった。(当時の)落合監督や渡辺博幸(現2軍内野守備走塁コーチ)に教えてもらい一塁の動きがすごく重要と認識させていただいた」。コーチ、2軍監督も歴任しており、幅広い視点で指導にあたる。

 《ドラ6中野は川相臨時コーチに弟子入り志願》

 ドラフト6位の中野(三菱自動車岡崎)が川相氏への“弟子入り”を志願。守備と小技を磨いて遊撃レギュラーを目指すことを改めて宣言した。

 「いろいろと守備の極意を自分から聞いていければと」

 守備力が売りのルーキーは、現役時代にゴールデングラブ賞6度受賞の名手との出会いを想像して胸を躍らせた。同氏は通算533犠打の世界記録も持つだけに「バントの形をもう一度丁寧に聞きたい。そういうところをしっかりやらないと試合には出られない」と、貪欲だ。

 この日から新人合同自主トレも第3クールに入ったが、調整は順調。「自分みたいなタイプは守備から入っていくのが一番大事だと思う。まずはそこを完璧にしてアピールしていくのがレギュラーへの近道」。“川相塾”を推進力にし、定位置争いを大外から一気にまくる。(遠藤 礼)

 ○…川相氏は06年の現役引退後、07年から18年にかけて12年間中日と巨人で指導者を歴任。内野守備走塁コーチは中日での07~09年の3年間のみで、この間の失策数は07年69(少ない順でリーグ3位)、08年75(同4位)、09年84(同2位タイ)だった。

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