【裏方の流儀】楽天・星洋介トレーナー 包容力で投手陣の体も心もケア

[ 2018年2月19日 11:00 ]

楽天のキャンプで、安楽と話す星トレーナー(左)
Photo By スポニチ

 楽天の球場、グラウンドで星トレーナーを見ない日はない。オフでも先発投手練習に顔を出す。投手陣の練習メニューを作り、コンディショニングを担当。選手を見守る目は「母」だ。「赤ちゃんが食べちゃいけないものを食べようとしたら止めますよね」。ケガを未然に防ぐために、投球フォームのメカニック的な部分まで相談に乗る。コーチとは違った角度で投手陣を支えている。

 母性を持つ。その考えに至る、きっかけとなったのは14年5月に乳がんで亡くなった母・幸子さん(享年61)の存在だ。「学生の頃、母に悪態をついたこともある。でも、母は注意し続けてくれた。投手には神経質な人もいる。弱音を吐いたり、荒れたり。でも、話を聞いて、良い方向に導いてあげる。“母ちゃん”みたいだなと思いましたね」。フィジカルだけでなく、精神面も支える。

 当然、選手からの信頼は厚い。ヤンキース・田中が率いる「チーム・マサヒロ」の自主トレにも付く。メンバーの一人である則本は「星さんがいなかったらと思うと恐ろしい」とまで言う。

 もちろん目指すのは日本一だ。13年。母は闘病中だった。田中がビデオレターで励ましてくれたこともある。「母を喜ばせたい思いで仕事をしていた」。その思いが実り、病床の楽天ファンに優勝を届けられた。あれから5年。家族、仲間、自身のために、また、休まない日常が始まった。 (黒野 有仁)

 ◆星 洋介(ほし・ようすけ)1979年(昭54)12月5日、宮城県仙台市出身の38歳。仙台育英で軟式野球をプレー。東北学院大から筑波大大学院に進みスポーツ医学を学ぶ。07年に楽天入団。

続きを表示

2018年2月19日のニュース