ダルビッシュ「技術に集中」投球スタイルの変化&減量に手応え

[ 2018年2月19日 05:30 ]

今キャンプのダルビッシュ(撮影・奥田秀樹通信員)
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 カブスに移籍したダルビッシュが、17日(日本時間18日)、今キャンプ2度目のブルペン投球で直球を中心に30球を投げた。15日の初ブルペン同様、投球フォームに躍動感があり、腕がよく振れているように見えた。

 「今は自分の体に不安がない。フォームとか技術に集中できる。スライダー、カーブだけでなく、全体的にレベルアップできればと思っています」。ここまで踏んできた段階に手応えを感じている様子。その裏には、2つの大きな変化がある。

 1つは投球スタイルの変化で、今季は「フォーシーム(直球)、縦気味のカーブ、スライダー、チェンジアップと、オーソドックスな感じ」と説明した。昨春キャンプでは打者の手元で動く球を駆使。早いカウントで打たせて取る投球を試していた。15年3月の右肘のトミー・ジョン(じん帯再建)手術を経て初めて開幕から臨むシーズンを前に、球数を減らし、年間を通して長いイニングを投げる手段を模索した。

 しかし、狙い通りにはならなかった。昨季はメジャー全体で「フライボール革命」と呼ばれたアッパースイング主体の打撃アプローチが進み、史上最多の6104本塁打。加えてボール自体も例年より飛ぶように変化したと噂された。ダルビッシュ自身も自己ワーストの27被弾。「変に打たせにいこうとすると、今の野球だとフライを打ち上げられると(スタンドまで)いっちゃう。柔軟に対応できれば」と話した。

 元来は最も空振りを多く取れる投手だ。米データサイト「ファングラフス」によると、両リーグ最多の277最多奪三振をマークした13年は、「空振りストライク率」が30球団トップの12・9%だった。9回あたりの通算奪三振率11・04は、先発投手では通算303勝のランディ・ジョンソン(10・61)を上回る歴代最高。本人は「空振りを意識すると力んでしまう。普通に投げる球に集中したい」とし「精度を(高めたい)」と強調した。

 技術や精度を高めるために取り組んだ、もう1つの変化が減量。体重が「4、5キロくらい軽くなっている。去年のシーズン中で106キロくらい。今は102とか」という。右肘手術後は故障防止の意味合いもあり筋力強化を進め、2年前にマウンドから投球を再開した頃は「ボディビルダーを目指しているので」と冗談めかすほど。「前と同じ力配分で投げても力が違う分、強いと思う。なるべく肘に負担の掛からないフォームにしていく」という狙いだった。しかし「出力」を上げて球威が増した半面、精度に不満が残り、長いシーズンで重い肉体を支えるのにも苦労した。

 そこで、このオフに糖質制限を主体とした「ケトジェニックダイエット」に励み、計画的に体を絞った。「体重を急に落として成功している選手は凄く少ない。ちゃんとした減量をすれば結果を出せるんだというところも見せたい」と話す。筋力強化に伴って付いた脂肪を落とし、服のサイズが変わるほど減量。18年版のボディーをつくり上げた。

 31歳のダルビッシュに6年の長期契約を出したセオ・エプスタイン編成本部長は「この年齢ゆえに、身体能力に精神面も相まって成熟したアスリートになっている。特別なことを成し遂げる準備ができている」と大きな期待を寄せる。常に変化を恐れず、進化につなげる右腕。メジャー3球団目、7年目のシーズンも目が離せない。 (メサ・奥田秀樹通信員)

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