阪神・岡崎“初任給”越え 13年目の苦労人が正妻獲りへ決意

[ 2017年11月21日 06:25 ]

増額に笑みのこぼれる岡崎
Photo By スポニチ

 阪神・岡崎太一捕手(34)がプロ13年目で初めて“初任給”を超えた。20日に西宮市内の球団事務所で交渉し、400万円増の年俸1700万円(金額はすべて推定)で契約を更改。1、2年目の年俸1500万円を初めて上回った。6月3日の日本ハム戦でプロ初本塁打を放ち、翌4日にはプロ初のサヨナラ打を記録。やっと花を咲かせた苦労人は「若いやつには負けない」と正妻獲りへ決意を新たにした。

 うれしい気持ちに少しの恥ずかしさも混ざり、岡崎は苦笑いした。「情けない話ですけどねえ…」。苦節13年目。更改した来季年俸1700万円は自己最高だ。億突破が珍しくなくなった近年のプロ野球界で400万円増は微々たる変化かもしれない。それでも努力の結晶と言っていい。昇給は2年連続3度目。入団時に結んだ1年目の年俸1500万円を初めて上回った。

 今季を振り返る時に忘れられないのは6月2日からの日本ハムとの3連戦だ。初戦は致命的なスクイズ失敗で敗因をつくり、翌3日は1―2の5回に放った逆転のプロ1号が決勝弾になった。4日は3―3の延長11回1死満塁に粘った13球目を左翼線へプロ初のサヨナラ打。歓喜の抱擁を交わした金本監督には「人生変わってきたね」と言われ、プロ野球人生を凝縮するような激動の3日間だった。

 「1戦目に自分のミスで負けたということもあって、本当に自分の中では、もしかしたら、これが最後になるかもしれないぐらいの気持ちで挑んだ試合だったので」

 振り返れば、04年ドラフトでは能見とともに自由枠で入団し、1軍で地位を高めていった同期とは対照的に最初の4年間は2軍暮らし。30歳を過ぎた14年からの2年間も1軍の舞台に立つことができなかった。

 転機は金本監督の就任だ。先入観を排した視点によって真摯(しんし)な姿勢を認められ、昨季は生え抜き最遅12年目での初開幕マスクに抜てきされた。今季は34試合出場で打率・195。昨季から4試合減っても、交渉担当の嶌村聡球団副本部長から「単発ながら捕手としてキッチリやってくれて印象に残っている。コツコツ腐らずやってくれたというところで見本になる」と評価された。

 本拠地・甲子園球場で2日続けて殊勲の壇上に上がった余韻はもう消した。「今年は今年で終わりなので。来年こそレギュラーを取るという気持ち。若いやつには負けないという思いでやっていきたい」。梅野、坂本に加えて捕手復帰した原口ら年下の競争相手は多い。来年6月で35歳。岡崎の物語にはまだ続きがある。 (河合 洋介)

続きを表示

2017年11月21日のニュース