黒田 貫いたメジャー流引き際の美学「力がなくなれば去るだけ」

[ 2016年10月19日 09:05 ]

広島・黒田 今季限りでの現役引退表明 ( 2016年10月18日 )

会見前にキャッチボールで調整する黒田
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 黒田が引退について真剣に考えていた13年のオフ。日米の引退観の違いを口にしたことがある。

 「MLBは年齢がいっているからと優遇してもらえる世界では到底ない。力がなくなれば去るだけ。日本とは引退についての考え方が違う」

 日本では功労者なら力が多少落ちても、本人が望むうちは現役を続けられる。だが、メジャーは、ヤンキースのアレックス・ロドリゲスのようなスーパースターでさえ必要ないと判断されれば、シーズン中に来季年俸を払ってでも「辞めてくれ」となる。その厳しさが、黒田には合っていた。

 元々現役にしがみつくという考えは全くなかった。結果を残せなければ潔く辞める。メジャーの最後の4年間、複数年契約のオファーを断り、いつも単年契約を選んだのもそれゆえだ。

 広島復帰に際しても、その考えを貫いた。常々「戻るならまだバリバリでプレーできる状態で」と話していたが、最初の会見で「2桁勝てなければ辞める」と宣言した。

 そして、納得できる形で幕を引く。当時の言葉を思い出す。

 「残りどれだけ野球がやれるか分からない中で、最後にそこ(広島)でマウンドに上がれば、自分の中で何か納得できるものがある。逆に日本で投げずに野球人生を終えた時に、どこか引っ掛かるものがあるのでは」

 流儀を貫き、見事にやり遂げた。(MLB担当・奥田秀樹通信員)

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