新井だけが引退決意知っていた…黒田に「ファン目線で」助言

[ 2016年10月19日 05:30 ]

広島・黒田 今季限りでの現役引退表明 ( 2016年10月18日 )

引き揚げる黒田に声をかける新井(右)
Photo By スポニチ

 日本シリーズに向けてマツダスタジアムで行ったナイター練習の開始前に、グラウンドに選手、首脳陣、裏方の輪ができた。黒田からの引退報告だった。神妙な面持ちで選手たちが聞き入る中、広島・新井はじっと黒田の顔を見つめていた。新井は知っていた。この日に至るまで、深い話し合いを続けていたからだ。

 「シーズン中から黒田さんとはちょくちょくそういう話はしていた」

 新井は「もう1年やってくださいよ」と現役続行を懇願したという。一方で、「ぼろぼろでマウンドに上がるのを一番近くで見ていたので…。体が気持ちに追いつかないと言っていた。いろんなところを痛めながら戦っていた」。最後には盟友の決断を尊重した。

 日本シリーズ前の発表を進言したのは、新井だった。決断を明らかにするタイミングを悩んでいた黒田に「ファンも(引退を)知っているのと知らないのでは、最後の雄姿の焼き付け方が違うから」。自らの故郷広島で大エースとして活躍した黒田を「ファン目線で見てしまう」という新井ならではの助言だった。

 運命をともにしてきた。広島を離れた時期は一緒だった。07年オフ、新井と黒田はFA権を行使し、それぞれ阪神とドジャースに移籍。そして14年オフ、ともに広島へと戻ってきた。チームを優勝へ導く夢をともに抱き、ともに戦った。

 リーグ優勝が決まった9月10日の巨人戦(東京ドーム)。ナインがグラウンドで喜びを分かち合う中、2人で抱き合う光景が印象的だった。同じユニホームでグラウンドに立てるのはシリーズが最後。「黒田さんの有終の美、花道を飾りたいと思っています。一日一日、瞬間瞬間を大事に過ごしたい」と実感を込めた。 (柳澤 元紀)

続きを表示

この記事のフォト

2016年10月19日のニュース