【シリーズ新視点1】スピードスコア 総合力の丸VS盗塁の西川

[ 2016年10月19日 11:15 ]

広島の丸
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 日本シリーズは広島―日本ハムと、昨年に続きリーグ優勝チームの対戦となった。チーム打率と防御率は、ともにリーグトップと拮抗(きっこう)。そこでメジャーで活用されている野球統計学「セイバーメトリクス」に基づき、両チームの戦力を3回にわたってより細かく比較する。

 短期決戦で、走塁は重要な要素の一つだ。セイバーメトリクスには「スピードスコア」という、あまり知られていない走塁の指標がある。スピードといえば盗塁数が浮かぶが、この他にも走塁が関係する成績を加味してポイント化し、より総合的な「走塁力」を比較するもの。セイバーメトリクスの第一人者、ビル・ジェームズ氏によって80年代後半に提唱された。

 計算方法は複雑でいくつかあるが、ここでは比較的簡単なものを使う。考慮する能力は(1)盗塁成功率(2)盗塁企図(3)三塁打(4)(本塁打以外の)得点の4つ。各項目を計算式に当てはめて0~10に数値化し(マイナスは0、10以上は10に換算)、平均点がスピードスコアとなる。これを広島と日本ハムの打者でみると、広島の最高値は3番を打つ丸で6・57。日本ハムで最高値だった1番・西川の6・52を上回った。今季両リーグ規定打席到達者の平均は3・62だから、ともに高い数値だ。

 西川はリーグ3位の41盗塁、・891と高い盗塁成功率で優位。一方で丸は23盗塁ながら、8三塁打と98得点、そして総合力で勝った。広島は丸が一つでも先の塁を奪い、新井や鈴木ら後続の打撃で得点するパターンを確立した。87年の西武・辻が見せた「伝説の走塁」のように、大舞台でもファンの記憶に残るスピードで勝利を呼び込めるか。 (記録課・矢吹 大祐)

 ▽セイバーメトリクス ビル・ジェームズ氏が70年代に提唱した分析方法で、従来の指標ではなく、統計学的視点から選手の能力や貢献度を測る。OPSやWHIPなどが有名。

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