岸、糸井、陽だけじゃない “隠れFA戦線”にも注目

[ 2016年10月19日 10:30 ]

ソフトバンクの本多
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 10月18日。ヤフオクドームに札幌から荷物が届いた。酒樽や一升瓶だ。クライマックス・シリーズ(CS)ファイナルステージを突破すれば、歓喜の宴で中身は空になるはずだった。だが、その栓は未開封のままだ。終戦した余韻はこんなところでも感じられる。22日に開幕する日本シリーズが終わればプロ野球界は本格的なオフに入る。

 目玉の一つであるFA戦線の火ぶたも切って落とされるわけだが、西武・岸、オリックス・糸井、日本ハム・陽岱鋼(ヨウダイカン)といった紙面に名が踊る選手の動向は気になるが、個人的にはソフトバンク・本多に注目したい。ストーブ記事で名前を耳にすることはないが、今季、年俸固定制3年契約の3年目が終わり国内、海外のフリーエージェント(FA)権を持つれっきとした「FA選手」だ。

 05年の大学・社会人ドラフト5巡目で入団した本多は10、11年には2年連続で盗塁王を獲得した。13年にはWBC日本代表にも選出された二塁手は今季、オープン戦で打率・391と好発進。開幕から交流戦までは打率2割台と不振にあえいだが、打撃の状態が上がり出した後半戦は不動のレギュラーを確保。打率は・280に上げた。110試合に出場し、23盗塁と2年ぶりに20盗塁以上もクリア。球界トップの守備範囲も健在という31歳の市場価値は高い。

 福岡出身であり「ルーキーのときから福岡でずっとお世話になった。将来もホークスでずっとやれるのが一番」と愛着は人一倍。誰もが残るものだと安心する。ただ、選手は出場機会を得て結果を出し、それに見合った対価(年俸)を受ける。そのバランスが少し崩れただけで絶対は絶対ではなくなる。昨オフに海外FA宣言した松田に残留の要因を聞いた。「テラスがあったのも大きい」。15年からヤフオクドームに設置されたホームランテラスにより同年、自己最多35本塁打を放った。「40発」の目標はその心を国内にとどめた。

 感じ方、考え方は十人十色。シーズンが終わり、球団と本多の交渉もほどなく始まる。プロ11年目で初となる代理人交渉を行うという。条件とそれ以外にどれだけの材料をテーブルに用意できるか。こういった「隠れFA戦線」もじっくりと、追いかけていきたい。(記者コラム・福浦 健太郎)

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2016年10月19日のニュース