マー君 叩いて零封3連勝「競馬の上積みみたいに映りますか?」

[ 2016年5月29日 05:30 ]

<レイズ・ヤンキース>6回、モターの打球にグラブを出す田中

ア・リーグ ヤンキース4―1レイズ

(5月27日 セントピーターズバーグ)
 ヤンキースの田中将大投手(27)が27日(日本時間28日)、レイズ戦で7回2安打無失点と相手打線を封じ、3勝目(0敗)を手にした。前回登板から投球時に軸足を置く位置を、プレートの三塁側から一塁側へ変更。2戦目となった新投法はさらに良化し、シンカーとスライダーのコンビネーションで本領を発揮した。

 「叩き2戦目」で本領発揮した新マー君が、ようやく破顔一笑だ。余力残しともいえる7回を82球で、2安打無四球無失点。降板時には珍しく無意識のうちに笑みもこぼれた。

 「競馬みたいな、一度叩いての上積みみたいに映りますか?でも、ゲームで一度投げていたことが大きかったと思う。前回序盤に感じた違和感はなく、スムーズでした」

 前回21日のアスレチックス戦から、投球時にプレートを踏む位置を三塁側から一塁側へ変えた。「自分のことで精いっぱいで。内容は全然良くなかった」と6戦ぶり白星を手にしながら歯ぎしりした前回とは違った。

 シンカーにより角度を付け、生かすのが一つの目的。一方でアングルの変化からスライダーが課題だったが、この日はそれが抜群だった。左打者膝元への「バックフット」に加え、外角の「バックドア」が自在に決まった。「最近そこをコントロールできていなかった。もっと広くゾーンを使っていければと」。最内を突く内角攻めも「効果的に要所で投げた。多少なりとは効いていた」。大外を回す外角の出し入れとのコンビネーションで文字通り幅が広がった。

 「スプリットはここ何試合よりかは良かった。でも今日はスライダーが良かったから、そっちが増えた」。中盤5、6回はスプリットはほぼ投げずスライダーを多投。スプリットの縦の変化が武器だったが、そこに頼らないワイドな攻め。4回までは1人の走者も許さない。5回無死二塁、6回2死三塁と得点圏に背負っても「(ピンチを)広げても落ち着いて、全然慌てることはなかった」と揺らがなかった。

 チームの連敗を2で止め、敗れれば最下位再転落の危機を救った。今季10試合に先発していまだ無敗。「(負けが)付いてないことはいいですけど。でも“負けでしょ”という内容も消してもらっているから」。本人は気にも留めないが、どこまで続くか。今年は無敗のダービー馬は誕生しないが、田中の無敗ロードは加速しそうな気配だ。(後藤 茂樹)

 ≪敵地防御率リーグトップ≫田中は今季初の2戦連続勝利で、開幕から10試合先発して無敗(3勝)。ヤンキースでは04年にオーランド・ヘルナンデスが13試合先発で無敗(8勝)以来の長さとなる。現在両リーグで10試合以上先発し無敗は他にアリエッタ(カブス・9勝)、ストラスバーグ(ナショナルズ・8勝)、ルイス(レンジャーズ・4勝)の3人だけ。

 なお、田中はこれで今季ビジターゲームでは5試合で防御率1.34となり、リーグトップに立った。今季通算の防御率は2.89でリーグ13位。1イニングに何人の走者を出したかを表すWHIPは0.96でリーグ2位となった。

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