DeNA、最大11から借金完済 驚異的5月15勝6敗1分け

[ 2016年5月29日 06:03 ]

<D・広>6回2死、広島・新井を三振に仕留め、雄叫びを上げるDeNA先発・今永

セ・リーグ DeNA3―1広島

(5月28日 横浜)
 ルーキー左腕で借金完済だ。DeNAのドラフト1位・今永昇太(22)が28日、広島戦に先発し、6回2/3を6安打1失点で4勝目を挙げた。同じドラフト1位・岡田との投げ合いで、8三振を奪う力投。5月は4戦4勝で、球団の新人で月間4勝は1962年7月の稲川誠以来54年ぶりとなった。チームも今季初の6連勝で勝率5割に復帰し、3位タイに浮上。今月3日に最大で11もあった借金を、15勝4敗1分けと驚異的なペースで完済した。

 一塁ベンチで祈るように戦況を見つめていた。2―0の7回に1点を返され、なおも2死満塁。ここで降板したDeNAのドラフト1位・今永は代わった須田がピンチを脱出すると、ド派手なガッツポーズを見せた。

 「調子は悪かったです。(勝てば5割復帰の)見えないプレッシャーもあったけど、いい経験だと思って投げました」

 序盤から珍しく球が浮いた。同じ新人で恋女房の戸柱と相談し、カーブの割合を増やした。緩急を使って「直球をよく(速く)見せるため」だった。さらに、得点圏に走者がいる際はボールを長く持って打者をじらすなど、新人らしからぬ落ち着きも見せた。

 圧巻は、今季2000安打を達成した新井との対戦だった。「広島の4番で駒大の先輩ですけど、意識はしません」。17歳も年上の大先輩でも、敵の一人に変わりはない。初回2死二塁のピンチ。フルカウントから140キロ台の直球を2球続けてファウルされた。そして9球目に112キロのカーブを投じ、バットを振らせなかった。計2つの見逃し三振を奪い、3打数無安打に抑えた。6回2/3を6安打1失点。同じドラフト1位の岡田にも投げ勝った。

 プロ初登板から4連敗後の4連勝で、自身もチームも「勝率5割」に復帰。球団の新人投手の月間4勝は大洋時代の62年7月の稲川以来、実に54年ぶりの快挙だ。それでも今永に浮かれた様子はない。直球の最速は145キロだが、「理想は130キロ台で打者に窮屈なスイングをさせたい」という。追い求めるのは直球の「切れ」と「打ちにくさ」。向上心は強い。

 チームは今季初の6連勝。5月は全カードで負け越しがなく、15勝6敗1分けだ。今月3日に最大11あった借金を25日で完済したラミレス監督は「チーム一丸でプレーした結果。今永はいい投球だった」と目を細めた。

 今月は「大先生」と尊敬する先輩左腕の石田とともに無傷の4勝を挙げた今永は「先発はどれだけ貯金ができるか。10勝10敗では意味がない」と力を込める。首位の広島に2連勝。中日と並ぶ3位に浮上し、首位まで2・5ゲーム差とした。ただ、今永の言葉ではないが、5割では意味がない。連勝を伸ばし、貯金を増やす。(山田 忠範)

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