西武・十亀 プロ初勝利から負けなし7連勝!愛敬以来5人目

[ 2013年4月1日 06:00 ]

<西・日>今季初勝利を挙げ、ファンから祝福される西武・十亀

パ・リーグ 西武5―2日本ハム

(3月31日 西武D)
 借りを返す。西武・十亀は強い意志を持って、4番に向かっていった。初回、いきなり背負った1死一、三塁のピンチで中田を迎えた。昨季9月28日の試合で、チームの逆転優勝が遠のく3ランを献上した因縁の相手だった。

 「内角にしっかり投げる」。自分に言い聞かせた。初球はスライダーでファウル。2球目、意を決して内角に直球を投げ込んだ。144キロに中田のバットは詰まり、二飛で併殺となった。「あれは大きかった。中田には内角をやられてたので、同じ球で打ち取れて成長できたと思った」。成長は決め球のシンカーにも表れた。右横手投げで左打者に対して逃げていく軌道を描く。しかし、右打者には内角に投じるため死球を怖がって多投できなかった。「当ててもいい」。弱気の虫と決別し、磨きをかけた。その結果、昨季は逃した開幕ローテーションをつかんだ。この日は左右にかかわらず、腕を振ってシンカーを投じ、8回まで無失点に抑え込んだ。

 8回を終えて117球。ベンチに戻ると、渡辺監督から「おまえ、まだ余力あるだろ?頑張れ」と背中を押された。だが、9回、あと1人のところでアブレイユに2ランを被弾。初完封どころか、初完投も逃し、悔しげな表情で降板した。それでも指揮官は「素晴らしい投球だった」と称えた。十亀もこう振り返った。「“完封、完投はおまえにはまだ早い”と言われた気がする。でも開幕に懸ける思いは強かったし、(開幕)3戦目を任されて使命感もあった。こういう結果で終われてよかった」

 新人だった昨季から無傷の7連勝。とはいえ、昨季は救援で5勝を挙げ、先発は最後の登板となった10月3日楽天戦(Kスタ宮城)しかない。「いつかは負けると思う。でも何とか負けない投球をしたい」。2年目を迎え、先発に定着する。中田の懐を攻めた強い意志がある今ならできる。

 ◆十亀 剣(とがめ・けん)1987年(昭62)11月7日、愛知県生まれの25歳。愛工大名電3年時に春夏連続で甲子園出場。日大を経てJR東日本に進み、11年の都市対抗で初優勝に貢献した。同年ドラフト1位で西武に入団。昨季は開幕2軍ながら、6月以降に中継ぎとして活躍して6連勝。1メートル83、85キロ。右投げ右打ち。

 ≪稲尾に並ぶパ記録に王手≫十亀(西)が新人だった昨季から無傷の7連勝。パでプロ入り以来無傷の7連勝以上は、01~06年愛敬(近、楽)の8連勝以来5人目となった。リーグ最多連勝は前記愛敬と56年稲尾(西鉄)の各8連勝となっており、十亀には次回の登板でタイ記録がかかる。なお、セには66年堀内(巨)の13連勝がある。

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