阿部「おいしい」満塁サヨナラ打!侍からさすがの切り替え

[ 2013年4月1日 06:00 ]

<巨・広>延長11回無死満塁、サヨナラとなる右翼線二塁打を打った巨人・阿部(中央)は水を持った矢野に追いかけられる

セ・リーグ 巨人3―2広島

(3月31日 東京D)
 開幕3戦目で、もうサヨナラ慎ちゃんで~す。巨人の阿部慎之助捕手(34)が、31日の広島戦で延長11回無死満塁から右翼フェンス直撃のサヨナラ打を放った。通算12本目のサヨナラ安打は、巨人では原辰徳監督(54)と並んで歴代3位。開幕カードでは初めてだった。チームも今季初のサヨナラ勝ちで開幕カード2勝1分け。V9時代の73年以来40年ぶりの日本一連覇に向け、開幕ダッシュする。

 逃げた。追いすがるナインを振り払い、阿部は一、二塁間から一塁ベンチ前まで全力で逃走。ウオーターファイトの水も見事にかわし、とびきりの笑みを浮かべた。お立ち台で久々のセリフだ。

 「最高でーす!みんながつないでくれてこんなおいしい場面、いいのかなと。僕だけじゃなく、チームが最後まで諦めない気持ちを持っているからこそだと思います」

 1点を勝ち越された延長11回、無死一、二塁から脇谷が同点二塁打。二、三塁となり、3番・坂本が敬遠で迎えた無死満塁だった。「外野フライでも、と凄く楽な気持ちで(打席に)入れた。2ボールまでよく我慢できた」。3球目のカーブ。球界随一の内角低めをさばく技術で拾ったライナーは右翼フェンスを直撃した。前日も延長戦で4時間2分を戦った末、引き分けた。だから「これで勝ったから疲れは半減するね」とおどけた。

 侍ジャパンの主将としてWBCに出場したが、準決勝で敗れて3連覇を逃した。3月19日に帰国。翌20日は34歳の誕生日だった。勝ち進んでいれば米国で決勝戦を戦っていたはずの記念日。心から喜べるはずもなかった。「五輪では2大会連続で最後のバッター。僕くらい国際大会に出させてもらって苦い思いをしている人はあまりいない」という。それでも23日にはチームに合流し、都内の焼き肉店で決起集会を開催した。「これまでも気持ちは年間、何千回も切り替えていますからね」。侍の主将から心を切り替え、バットで白星を引き寄せた。

 内海―前田健の侍対決となった試合で、阿部は正捕手としてもエースを好リードした。最後は12本目のサヨナラ安打。WBC出場で「燃え尽き症候群にならないように気をつけます」と話していたが、火の出るような一打で3時間36分の死闘に決着をつけた。サヨナラ安打で阿部に並ばれた原監督が「慎之助に並んでもらって光栄です」と最敬礼するほどだった。

 開幕カードを2勝1分け。40年ぶりの日本一連覇へ最高のスタートを切った。主将、4番、正捕手の1人3役を担う阿部は言った。「マエケンと内海(の対戦)で勝てたことは大きい。こういう試合をどれだけものにできるかが、連覇に一番、必要とされていること。一戦必勝で頑張りたい」。その勝負強さで、13年シーズンも原巨人のど真ん中にいる。

 ≪過去30度中Vは17度≫阿部(巨)が自身12本目、開幕カードでは初となるサヨナラ安打。通算サヨナラ安打の歴代最多は清原(オ)の20本だが、巨人では王15本、長嶋14本に次ぎ、原と並ぶ3位タイに浮上した。また、セでは4位タイ、歴代では8位タイとし、それぞれ、5傑、10傑入りした。これでチームは1引き分けを挟み、開幕2連勝。巨人の連勝発進は11年まで過去30度あるが、最終順位は優勝が17度、2位が8度、3位が5度で全てAクラス入りを果たしている。

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2013年4月1日のニュース