ベンチで偉業支えた「19歳の高校球児」

[ 2010年8月22日 06:00 ]

<興南・東海大相模>表彰式で我喜屋監督の横に並ぶ興南・大湾圭人記録員(左)

 【夏の1ページ 興南13―1東海大相模】まるで夢を見ているようだ。春夏連覇。春はグラウンドで、今夏はベンチで歓喜の瞬間を迎えた。興南の記録員、大湾(おおわん)はひたすら感激していた。

 「もううれしいしかない。こんな体験、誰にもできませんから」
 島袋ら同級生には「大湾さん」と呼ばれる。一度入学した県内高校を中退。興南を受験し直した。1年遅れで入学して4月8日で19歳。高野連の規定からユニホームを着られるのは今春までだった。センバツは背番号14、決勝で延長12回2死から我如古主将に代わって三塁を守った。試合後、我喜屋監督からウイニングボールをもらった。誰よりも努力してきたことへのご褒美だった。
 センバツ後は裏方に徹した。興南野球を支えるデータ班。2回戦から記録員でベンチ入りし、相手投手の傾向を各打者に伝えれば、夜中1時までデータをまとめる日もあった。「ユニホームは着てなくても、本当に幸せですよ。普通の高校生には経験できないことをしてる」。高校再受験を後押しした父・勇さん(49)も目を細める。
 我喜屋監督の教えで私生活も手を抜かずにやってきた。「この経験をこれからの人生に生かしたい」。連覇は将来へのプレーボールだった。

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2010年8月22日のニュース