プロ入り初!“斬り込み隊長”坂本5安打固め打ち

[ 2010年4月2日 06:00 ]

<横・巨>6回1死、巨人・坂本が右翼に三塁打を放ち、二塁ベースを蹴って三塁へ向かう

 【巨人12―2横浜】まるで打ち出の小づちだ。巨人の斬り込み隊長、坂本勇人内野手(21)が1日、横浜相手に自身初の5安打と大爆発。球団1番打者としては10年ぶりとなる固め打ちで、打率は・429まで急上昇した。今季飛躍的に向上した選球眼で、空振りも減って安定感も積極性もアップ。前日から7打数連続安打と勢いが止まらない坂本は、2日に11打数連続のプロ野球記録に挑む。

【試合結果


 リードオフマンは最後まで自分の仕事を貫いた。10点リードの9回2死。坂本は本塁打なら自身初のサイクル安打という状況でも、私欲を捨てていた。6球目、高めの直球を手元までしっかり引きつけて右方向へはじき返した。プロ初の1試合5安打。充実の表情で一塁の吉村コーチと拳をぶつけ合った。
 「5安打?ラッキーでしたね。高校の時にあったかな。サイクル?ベンチで言われてました。点差が開いていたので意識はしましたけど(本塁打は)狙ってないです」
 ヒットパレードで打線の点火役を十二分に果たした。初回は中前打で先制のホームを踏むと2回無死一、二塁では初球バントでラミレスの満塁弾をおぜん立て。6回は強風も手伝い、前進した右翼手が打球を後ろにそらすと快足を飛ばして一気に三塁を陥れた。昨季は出塁率・357。今季のノルマを4割に定める21歳は「どんな形でもいいから出塁を増やしたい」。自らの打点はなくてもアシスト役に徹したことを誇った。
 開幕当初こそ9打席連続無安打と苦しんだが「調子が悪いとは思っていなかった」。自信の裏付けには向上した選球眼がある。昨季トータル2379球中、空振りは193回で全体の8・1%。リーグ12番目の数字だが、1番を打つ打者の中では一番多かった。今季はここまで87球中5回だけ。確率5・7%と確実に減っていることには「たまたまですよ」と話すが、打撃練習前は視線の先に両手の親指を並べ、焦点を交互に合わせる目のトレーニングを進んでこなす。この3連戦は7打席連続で初球打ちなど、ボールが見えているからこそ積極的な打撃にもつながっている。篠塚打撃コーチも「状態はいいですよ。見逃し方が突っ込まなくなった」と好調の理由を説明した。
 打線はいずれも今季最多の13安打で12点を奪い、尾花ベイとの因縁対決第1ラウンドを勝ち越した。前夜のサヨナラ負けから一転、つながりが出た打線に原監督も「きのうから追加点が課題だった。坂本?5の5ですもんね。攻守にわたってしっかり役割を果たしてくれている」と称賛した。
 「一回でも多く出塁すれば、得点につながる」。歴史と伝統ある球団の、1番打者としてのオーラが出てきた坂本が、気を緩めずに自分の仕事をこなす。

 ▼巨人松本(初回無死二塁から絶妙のバント安打)最低でも送ろうと。セーフになったので最高(のバント)だと思います。勇人(坂本)と常に「しっかりチャンスをつくろう」と話してる。今はいい流れになってる。

 <記録は11打数連続>坂本が5打数5安打の固め打ち。自身1試合4安打は過去に3度あったが、5安打はプロ入り初めてだ。巨人の打者で1試合5安打は05年4月30日広島戦で高橋由がマークして以来。1番打者では00年7月2日広島戦で仁志が放って以来10年ぶりになる。これで3月31日横浜戦の4打席目から1犠打を挟み7打数連続安打を継続中。最多連続打数安打は91年レイノルズ(大洋)、高橋由(巨)の11打数連続。

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2010年4月2日のニュース