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濃厚タチウオ しゃぶらせて…プリッとオバサマ系うま味の宝庫

[ 2017年9月17日 09:30 ]

ガッチリハリをくわえたタチ。悪人顔からは想像できない美味な魚だ
Photo By スポニチ

 【一釣一品 食べま専科】タチウオのしゃぶしゃぶを食す。9月も半ばを過ぎればナベもいい。東京湾からは景気の良い知らせが届いている。心躍る。とにかくおいしい思いがしたい。ヤッコラ八景・鴨下丸へ。(スポニチAPC 町田 孟)

 抜き上げた胴体がギラッと光るでしょ。幅が指5本クラスともなると濃艶(のうえん)ですな。酒、タバコ、男に磨かれたオバサマ系ね。サイドにスリットが入った銀のドレス。極上の雰囲気を醸していたのは、かの京マチ子さんか。最近の女優さん?ウーン、みんな小顔で細身ばかり。そそらないね。

 これからが食べごろ。俳句の季語にもなっている。正岡子規も嫌いではなかったようで題材にしていた。故郷の愛媛県は全国有数の水揚げ量を誇っているし、なじみ深かったのかもしれないナ。「太刀魚の出刃包丁にはてにけり」。35歳で逝った巨星の命日は9月19日。「糸瓜(へちま)忌」。どーれ、上野公園の子規記念球場まで遠出してみよう。帰りに韻松亭で一杯ひっかけながらしのぼうか。

 【釣戦】日によって変わるポイントに30隻じゃきかない船が群がっている。武者震いよりおじけの方が顔を出しちゃう。マイク越しに高山将虎船長の浅場攻略ポイントが流れる。「小さな当たりがあってもそのままハリ掛かりするまで誘い続けて」。コツコツからガツンまでの我慢かな。小刻みにシャクるんだが、それぞれのリズムがあるからなあ。案外難しい。餌のサバは新鮮そのもの。小耳にはさんだコツは腹側、つまり「銀色の方からつける」。そら!竿先が引き込まれた。

 【タチしゃぶクッキング】使うのはカマ下から肛門までの間。三枚に下ろし、厚めのそぎ切りに。かっこうつけて薄く造るとひどい目に遭うよ。野菜はレタス、キノコ、ネギ、水菜などクセのないものを。アラでだしを取って使えばよりうま味が増す。ポン酢、カボスしょう油などでどうぞ。箸でつまんでしゃぶしゃぶ5秒が限界。汗ばむナベにぴったりなのが「金魚」。知ってる?焼酎の水割りに、シソまたはキュウリの千切りを入れ、タカの爪を丸のまま1本。横から見てごらん、意味がわかるから。今ふうにするならストロングソーダ割りかな。よりアクアリウム感が出るかも。若い頃の遊び飲み。

 冷房禁止でフーフーむさぼり食う。むくれ顔だった家人。額を光らせて「プリッとしてるし、刺し身より脂の甘みを感じる。上等」。なかなか箸を止めないんだから。

 ▼釣況 東日本釣宿連合会所属、八景・鴨下丸=(電)045(781)8410。出船午前7時20分、乗合料金9000円。出船は前日電話確認。

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