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日本小児歯科学会 RKB報道に抗議文 2歳女児が虫歯治療後に死去した事件「国民に誤解を与える内容」

[ 2024年4月26日 09:10 ]

日本小児歯科学会

 日本小児歯科学会は、今月22日にTBS・RKB毎日放送で放送および配信された報道について、抗議文を提出したと発表した。

 今月22日の放送では、7年前に福岡県内の歯科医院で2歳の女の子がむし歯の治療後に死亡した事件を取り上げた。事件をめぐっては、歯科医院の院長が「適切な救命措置を怠った」などとして1審2審とも有罪判決を受け、現在最高裁に上告中。報道では、当時司法解剖し鑑定書を作成した医師が「麻酔治療が必要なむし歯は1本もなかった」と証言したとして、「背景に過剰治療か」と報じた。

 学会は、報道について「本件は大変痛ましい事故であり、現在も裁判が継続中であることから、治療にあたった歯科医師の責任の所在はもとより、再発を防止するための徹底的な原因の解明が図られることを望んでおります」とした上で、「しかし、貴社の報道において、『子供の歯科治療は過剰治療になりやすい』と指摘されており、国民に誤解を与える内容となっております。また、取材に対応した医師・歯科医師の発言内容には、小児歯科の専門医がこれまでに培ってきた見解に対し、重大な相違と曲解があると言わざるを得ません」と抗議。

 3枚に及ぶ抗議文を公式サイトを通じて公表し、「本件報道は、乳歯はそのまま抜けるまで待つか、他の歯に虫歯が進まないように予防的に治療する程度で十分であると誤解を与えかねない内容となっています。まして、治療したことそのものが過剰であり、事故につながったとするコメントには根拠がありません」と説明。

 また、「6歳未満の場合、歯を削る治療の診療報酬が大人の 1.5 倍になっているため“応急処置以外は治療しなかった3歳未満のむし歯や治療可能な年齢であっても昔なら治療しなかったような小さなむし歯が削られている”」と、報酬目当てで歯の治療を行っているなどとする内容については「小児の場合、処置に要する時間や関わるスタッフが多く必要であるという判断から、ご指摘のように設定されています。むし歯の治療の要否については個々の歯科医師が診断しますが、上述の通り小児のむし歯については適切な診断ができる歯科医師が少なく、日常的に小児の診察にあたっている小児歯科専門医とそうではない歯科医師の診断の差異が非常に大きいこともあります。むしろ早期の対応が必要なむし歯がそのままになっているケースも多く、コメントを行った歯科医師も小児歯科の専門性を有していないことから、適切な診断を行っていない可能性が非常に大きいと考えています」と指摘した。

 歯科治療における麻酔についても「痛みを長く与えないためには、特に必要な基本的前処置と考えています」とし、「医師のコメントからは、麻酔をしないことが小児の歯科治療では一般的であるという誤解を、国民に与える報道になっております。なお、本件報道においては小児に対する歯科治療が利益を得やすい構造になっているという記述もありますが、むし歯治療に対する麻酔の注射については診療報酬を得られる処置ではありません」と、多方面で視聴者に誤解を与える内容だったとした。

 その上で、「本件に関し、日本小児歯科学会といたしましては、貴社に放送内容の修正・謝罪記事の掲載、現在の web 動画の削除を要求いたします」と要請した。

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