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自然体な湘南の名手 短パンにサンダルでカサゴ、ヒラメGET

[ 2017年6月5日 07:55 ]

山下さんいきなり来た!
Photo By スポニチ

 【根ほり葉ほり おじゃま虫まーす】上手な人のことを「手がいい」という。平塚・庄三郎丸のご推薦は山下拓也さん(49=会社員、平塚市)だ。カサゴ・ヒラメ船で名手ぶりを、とくと拝見した。 (スポニチAPC 町田 孟)

 バシャッ!早すぎるヒラメ船中1号がタモに収まった。「始めてください」。中村友紀船長の合図がかかってから数分。山下さんの竿がしなる。手巻きリールのハンドルを慎重に巻いていく。餌のシコイワシを小一時間かけて確保。さあ、本チャン、名うての常連さんをしばらくウオッチングと目をやるのと同時だった。 

 短パンに突っかけサンダル。いでたちはその辺を散歩するおじさんだ。住まいが平塚ということもあるが、それにしても軽装。鼻歌でも歌っているかのように左舷ミヨシに立った。釣るぞ、の殺気を感じさせないのがいいのかもしれない。

 その後もチラ見を続ける。一定の時間で仕掛けを落としてはタナの取り直し。「根の上50センチくらいを30〜40秒間隔で」。のんびり構えていてはたちまち仕掛けを失うのがこの釣り。頻繁に、まめに、丁寧には基本だ。カサゴ、ワニゴチを追加したあと再び竿がぐいぐいと引き込まれた。姿を現した2匹目のヒラメはひと回り大きかった。

 かつてはゴルフと両立させていた。緑のじゅうたんでの腕前は「それなりに。80台では回っていた」。高校時代に体操部で培った運動神経がものをいったのだろう。本格的に釣りにのめり込んで10年。今では年に「100回以上」通う。加えて「昨年秋からアオリを始めたら、あのガツンにはまっちゃって」。ゴルフの方は「年に1、2回程度」。足が遠のく一方だ。お土産付きと払うばかりとの差は大きい。

 軸足をシフトさせた要因はまだある。「ゴルフは人数をそろえなければならない」。会社関係の仲間同士だと愚痴も出る。その点釣りは「一人でできるし、顔見知りになっても仕事に関係ない人ばかり。しがらみはないし何も考えなくていい」。潮風にはアロマ効果があるのかもしれない。

 釣った魚は行きつけの店に持ち込むのが通例。予告出漁の際は待ち構えている友人たちと宴会だ。酒は「嫌いじゃない。というよりむしろ好き。毎晩焼酎2合以上はいっちゃう」。ワイワイ騒げばさらに増えそうだ。

 父・淳一さん(82)と2人暮らし。母・美好さんは60歳代半ばに心筋梗塞で亡くなっている。×はついていない、れっきとした「未婚」だ。厚木の某ホテルマン。それも「もちろん結婚式も手掛けている」宴会担当。さらに兄・明彦さん(53)も独身とくると、ブラックジョークめいてくる。

 釣りに夢中になり過ぎたせいなのだろうか。大きなお世話かもしれないが、どこかに夢を一瞬でも中断させる恋の名手はいないものか…。

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