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“老舗穴場”で本命アマゴ姿見えず…悪条件のせいだと思いたい10年目で初

[ 2017年5月12日 07:16 ]

最初のポイントでの自画像
Photo By スポニチ

 アマゴは元気にしているだろうか。当該の漁協が07年に解散した西伊豆の土肥山川は、アマゴ釣りの穴場として長く愛した渓流。漁協不在となって10年、毎年この時期に続けてきた「定点観測」を紙面でリポートするのは3年ぶりになる。釣況は年々右肩下がりで、不安いっぱいの入渓となった。(スポニチAPC 若林茂)

 国道136号の昭和橋から土肥山川沿いの林道を上って500メートル足らず、最初のガッカリに遭遇する。木漏れ日の斜面に群生するシャガは例年通りの花盛りだが、よく見ると群落全面に大量の空き缶が…。その数は50個以上か、ポイ捨てではなく、明らかに林道からの不法投棄である。

 毎年3カ所で竿を出す定点観測、今年も最初のポイントは小堰堤(えんてい)の下のプールだ。ミノーは毎回同じケン・クラフト(古いネ)の4センチ、15投して当たりすらなし。いつものようにリモコンで証拠写真を撮って、次のポイントへ。大石が連続し、流程随一の好ポイントも当たりなし。ガッカリは続き、最後は大堰堤を前にした大きな淵だが、やはりダメ。ルアーを追う魚影さえ見えなかった。

 渇水でピーカン、そしてアユ釣りで言うアカ腐れ気味、と条件は悪かったが10年目で初の“型見ず”に終わったのだった。

 釣れるまで釣りたいのはやまやまだが、これはあくまで定点観測。解散した漁協(土肥河川非出資漁業協同組合)の最後の組合長・原耕二さん(70)に報告に行く。土肥温泉で旅館・松原荘を営む原さん、いつも「魚、元気だったかね」が合言葉なのに、今回は違った。

 「魚、いなかったろ」

 当然、不調は察知済み。聞けば、最近アマゴを釣ったという話もなく、今季はアユの遡上(そじょう)も見えないという。

 海からほんの200メートル、温泉街の土肥大橋の上下は昔、良型アマゴが出たし、アユもよく釣れた。ルアーで20センチ超のアユカケがヒットして驚いたことも。今、橋からのぞく流れにはアブラハヤが我が物顔。そして、この変な濁りは上流での河川改修工事だろうか…。

 漁協が管轄していたのは地元で「山川」と呼ぶ土肥山川と「大川」と呼ぶ小土肥(おどい)大川の2河川。原さんによると、大川には昨夏、アユの天然遡上が多く、地元の人がかなり釣ったという。穴場復活の兆しならいいのだが。しかし、この日、観察した大川の下流域にアユの姿は確認できなかった。

 今回、山川のアマゴは「たまたま釣れなかっただけ」だと思う。誰かの名言ではないが「漁協は解散してもアマゴは永久に不滅です」とも思う。ならば「源流まで詰めれば」とか「餌釣りなら」という方法もあるが、それは来年の、いや、最後の手段だ。

 昼下がりの土肥漁港。ルアー・ロッドでエギングを楽しむ白髪頭のオッサンが1人。停泊する漁船の間に見え隠れするビッグなアオリイカに、ガッカリ病?を癒やされているのだった。

 ▼釣況 問い合わせ先はない。無料だが釣期、釣法などは静岡県の漁業調整規則を守り、キャッチ&リリースで。

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