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丸々50センチ!マルタが帰ってきた

[ 2017年4月1日 05:30 ]

マルタとの駆け引きを楽しんだ梁本さん親子
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】今年も多摩川にマルタが帰ってきました。サケのように川を上り産卵します。そのマルタってどんな魚でしょうか?一見ウグイのように見えます。海に下るウグイをマルタと呼ぶのかと思っていたら実は違う種類だったと気付いた方も多いでしょう。私も最初はそうでした。

 マルタはコイ科の魚としては珍しく、淡水型がいません。シロザケやカラフトマスのようにふ化するとすぐに海へ下ります。海では塩分濃度が濃くない湾内や運河などで育ち4年目ぐらいで成熟して川へ戻ります。

 多摩川ではアユの遡上(そじょう)と同じく「きれいになった」と言われた10年ほど前からマルタも大量に帰ってくるようになりました。いまではその数は約20万匹(川崎河川漁協発表)。

 サイズが50〜60センチありますから釣りの格好のターゲットです。そして狙いはマルタだけではなく、その卵を狙う怪魚たちです。生活処理水の栄養がたっぷりの多摩川に入っているし、海から栄養の供給があるため、魚たちはさらに巨大化します。

 IGFA(国際ゲームフィッシュ協会)公認の世界記録魚が多摩川から6種類出ていることがそれを証明しています。コイ、ウグイ、オオキンブナ、ナマズ、ニゴイそしてマルタも。全てがマルタの卵を食べる魚です。マルタはサケと同じく海の栄養を川にもたらしているのです。

 3月下旬、友人の梁本和則さんと息子の雅洋君と一緒に登戸に出かけました。

 朝7時、先に2人いたのであいさつして一緒に釣らせてもらうことに。今回はフライの道具を用意しました。

 リリースを前提としていますからフックはバーブレスです。

 マルタの釣り方として大切なのは必ず川底すれすれを流すことです。そのためにフライから50センチほどの場所にシンカーをつけます。バス釣り用のタングステンネイルシンカーを2つのウキゴムで挟むように止めます。ティペット(ハリス)はフロロカーボンの2号です。フライはマラブーフライ。

 流し方も工夫が必要です。上流に投げてフライが一直線に下流に流れるようにしないと、ファールフック(スレ掛かり)を多発します。

 ルアーも同じです。流れを横切らせると、ヒレや背中にかかってしまうのです。この点のアドバイスをして釣り開始。2人はフライが初めてですが、雅洋君は何と1投目でヒットさせました。50センチほどのマルタはよく引いて彼を喜ばせていました。程なくしてお父さんもゲット。

 マナーが悪い人、わかってない人も多いのでここで助言しますね。掛かった魚を岸に引きずり上げたり、リリース時に足で蹴ったりしないこと。コイ科の魚なので、唇が弱いですからフィッシュグリップを使わないこと。できればラバーネットを使いましょう。写真は水の上で素早くお願いします。リリースが前提ですからビクに入れないこと。ビクの中で傷ついたり、卵を出しちゃったりしたら未来の遡上に影響しますから。また監視員が来たら遊漁券を購入ください。1人1000円。小学生は無料です。

 9時ぐらいになると、情報が流れているからか、次々に人が集まり、とっても混み合ってきました。

 すでに何匹も釣っていた私たちは場所を譲り移動。今度はちょっと深みのある場所でコイを狙いにいきました。 (東京海洋大学客員教授)

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