東邦・石川 二塁打!二塁打!二塁打!春最多タイ58勝導いた 中京大中京に並び「自分たちが抜かしたい」

[ 2023年3月26日 05:30 ]

第95回選抜高校野球大会第7日・2回戦   東邦6―3高松商 ( 2023年3月25日    甲子園 )

<高松商・東邦>2回先頭で二塁打を放った東邦・石川(撮影・須田 麻祐子)
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 2回戦2試合、3回戦1試合が行われた。第2試合では東邦(愛知)が高松商(香川)を下して選抜通算58勝目を挙げ、春通算勝利数で中京大中京(愛知)に並ぶ歴代1位に立った。石川昂弥(中日)の弟・瑛貴(てるき)は、決勝の勝ち越し打を含む二塁打3本で勝利に貢献した。 日程&結果

 試合前に東邦・石川は、志水和史部長から「バックスクリーン狙えよ」と提案されると、間髪入れずに即答した。「狙いません」。想定内の答えを受け取った同部長から、改めて指示を受けた。「ライナーでいいからな」。ミッションを忠実に実行し、チームに流れを呼び込んだ。

 同点に追いついた4回だった。1死二塁で打席が回り、暴投で走者が三進して好機拡大。フルカウントから真ん中に入った直球を逃さず、強いゴロで左翼線にはじき返す決勝の勝ち越し打を放った。2回先頭では左中間へ、8回2死無走者では右翼線へ。「しっかりとライナーで打てたことは良かったです」。約束通りの低い弾道で二塁打3本を刻んだ。

 聖地に立つまでに、どん底を味わった。21年7月に右肩を脱臼し、1年に及んだリハビリ生活。父・尋貴さん(51)に「もう野球やめようかな…」と弱音を吐くと、父は止めなかった。「野球だけが人生ではないから。無理やり続ける必要もないよ」。悩む姿を心配した山田祐輔監督からは「落ち込むなよ」と寄り添われた。周囲の優しさに救われ、野球を続けることができた。「苦しいことがあっても、これより悪いことは起こらないと思えた」。恩返しの舞台で、春2勝目を挙げた。

 「(中京大中京を)自分たちが抜かしたいです」

 中京大中京(愛知)に並ぶ選抜歴代最多58勝目。野球部OBの父が在学していた88、89年の計9勝、兄・昂弥が投打で奮闘し全国制覇した19年の5勝が含まれる。試合前夜、兄からは「しっかり寝ろよ」と連絡が入ったという。「いや、普通に寝れてます」と笑う強心臓で選抜史の更新を目指す。(河合 洋介)

 ◇石川 瑛貴(いしかわ・てるき)2005年(平17)9月16日生まれ、愛知県半田市出身の17歳。小学1年秋にツースリー大府で野球を始めて捕手。中学は愛知知多ボーイズに所属。東邦では2年春に背番号19でベンチ入りし、2年秋から主将を務めて背番号3。50メートル走6秒6、遠投95メートル。1メートル82、84キロ。右投げ右打ち。

 《山北粘投実る》○…先発を託された東邦の背番号10・山北一颯は、7安打を浴びながら6回1失点で粘り勝ちした。3者凡退は1度のみ。再三にわたりピンチを招いたが「球速にこだわらず、打たせて取れた。チームが勝てたのでオッケーです」と笑顔を浮かべた。父は中日などで通算208試合に登板した茂利さんで、父譲りの1メートル89の長身から投げ下ろす本格派右腕。エース・宮国凌空の温存にも成功し、次戦の報徳学園(兵庫)戦に向け「いつでも投げられるよう準備しておきます」と語った。

 ○…東邦が今大会2勝目。春通算58勝となり、中京大中京(愛知)に並ぶ歴代1位となった。春夏通算では歴代7位の77勝目。

 ○…東邦・石川瑛貴が1試合3二塁打。1試合の二塁打最多記録は、14年春に白鴎大足利(栃木)・大下誠一郎が1回戦・東陵(宮城)戦で放った4本。

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